2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネいもち病菌エフェクターの宿主細胞内移行機構の解明
Project/Area Number |
22780039
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Research Institution | 公益財団法人岩手生物工学研究センター |
Principal Investigator |
吉田 健太郎 財団法人岩手生物工学研究センター, 生命科学研究部, 研究員 (40570750)
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Keywords | 植物・病原体相互作用 / エフェクター |
Research Abstract |
植物病の多くは、糸状菌によって引き起こされる。糸状菌は、植物感染時にエフェクターというタンパク質を分泌し、その中のいくつかは、植物の細胞内に移行し、植物の防御機構を攪乱し、糸状菌の病原性を助長する。エフェクターの細胞内移行モチーフを同定することができれば、糸状菌におけるエフェクター単離速度が飛躍的に速くなる。なぜなら、次世代シークエンサーによって、迅速かつ安価に糸状菌のゲノム配列を決定する時代が到来しつつあり、決定したゲノム情報から分泌タンパク質を予測し、細胞内移行モチーフを探せば、細胞内で作用するエフェクター候補を絞り込むことができるからである。そこで、本研究は、我々がこれまでに単離したイネいもち病菌のエフェクタータンパク質のどのアミノ酸配列が、イネの細胞内に移行することに重要であるかを検証した。その結果、エフェクターの分泌シグナル配列があれば、イネ細胞内へ移行することがわかった。また、エフェクターのプロモーターで発現させた場合、エフェクターではないキシラナーゼタンパク質の分泌シグナル配列でもイネ細胞内への移行が観察された。更に、感染時に発現し、細胞内に移行しないことが報告されている分泌タンパク質Bas4のプロモーターの下流で発現させた場合でも、エフェクターの分泌シグナル配列があれば、イネ細胞内に移行することがわかった。そして、驚くべきことに、Bas4の分泌シグナル配列でも移行することが観察された。以上の結果は、細胞外分泌タンパク質は、感染時にタンパク質が発現し、細胞外に分泌されれば、宿主細胞内へ移行するということを示唆している。そして、イネ細胞内に移行しないBas4に代表されるタンパク質は、分泌タンパク質の本体部分が、イネ細胞内への移行を阻害していると推測された。
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[Journal Article] Multiple translocation of the AVR-Pita effector gene among chromosomes of the rice blast fungus Magnaporthe oryzae and related species2011
Author(s)
Chuma, I., Isobe, C., Hotta, Y., Ibaragi, K., Futamata, N., Kusaba, M., Yoshida, K., Terauchi, R., Fujita Y., Nakayashiki, H., Valent, B., Tosa, Y.
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Journal Title
PLoS Pathogens
Volume: 7
Pages: 1020147
DOI
Peer Reviewed
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