2011 Fiscal Year Annual Research Report
いもち病感染イネにおけるエフェクターとそのターゲットの相互作用の解明
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22780040
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Research Institution | Iwate Biotechnology Research Center |
Principal Investigator |
齋藤 宏昌 (財)岩手生物工学研究センター, 生命科学研究部, 主任研究員 (20414336)
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Keywords | 分泌タンパク質 / 細胞間隙 / 抵抗性タンパク質遺伝子 / 抵抗性誘導 / 非病原力エフェクター遺伝子 / 病原力遺伝子 / ウリ類炭疽病菌 / ベンサミアーナタバコ |
Research Abstract |
植物病原体は宿主植物への感染時にエフェクターと呼ばれる分泌タンパク質を宿主細胞または細胞間隙に注入することによりその病原性を発揮する。一方あるエフェクターを認識する抵抗性タンパク質遺伝子を宿主植物が保有している場合、そのエフェクターは植物の抵抗性を誘導する。 我々は、平成22年度までにイネいもち病菌由来の3つの非病原力エフェクター遺伝子(抵抗性誘導)および1つの病原力遺伝子MC69の単離同定に成功している。 平成23年度の研究により、MC69は、単子葉および双子葉植物にそれぞれ病原性を示すイネいもち病菌およびウリ類炭疽病菌の感染に共通して必要な病原性分泌タンパク質であることが明らかとなった(Saitoh et al.,2012 PLo S Pathogens,in press)。ウリ類炭疽病菌はベンサミアーナタバコにも感染可能である。この宿主植物では目的のタンパク質の一過的過剰発現および共免疫沈降法により植物由来ターゲット因子を同定する手法、および候補遺伝子の発現抑制法が確立されている。したがって、ベンサミアーナタバコを用いてウリ類炭疽病菌由来MC69(CoMC69)のターゲット因子の同定およびその機能解析が可能であり、さらにその因子のイネ由来オルソログはイネいもち病菌由来MC69(MoMC69)のターゲット因子となり得ると推察できる。そこで、3xFLAGタグ付きCoMC69のベンサミアーナタバコでの一過的過剰発現および検出を試み、成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いもち病菌由来非病原力エフェクターAVR-Piaは、イネ由来の2つの遺伝子産物SasRGA4およびSasRGA5と相互作用して抵抗性を誘導することが示された。この結果から、イネいもち病抵抗性遺伝子Piaは、2つの遺伝子SasRGA4とSasRGA5で構成されていることが明らかとなった。モデル植物であるベンサミアーナタバコに感染するウリ類炭疽病菌由来MC69ホモログ、CoMC69も病原性分泌タンパク質であることが明らかにされ、生化学的手法を用いてMC69のターゲット因子を同定できる可能性が高まった。
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Strategy for Future Research Activity |
単子葉および双子葉植物にそれぞれ病原性を示すイネいもち病菌およびウリ類炭疽病菌の感染に共通して必要な病原性分泌タンパク質MC69が同定されたことから、MC69のターゲット因子を探索し、MC69を介した植物病原菌-植物の相互作用の解明を最優先する。イネいもち病菌由来3つのエフェクター候補MAS1、MAS3、Mg119のHAタグ付きタンパク質を過剰発現するイネ懸濁培養細胞を供試し、各エフェクター候補と結合するイネ由来ターゲット因子の同定を試みる。それによって、イネいもち病菌の病原性におけるMAS1、MAS3およびMg119の機能を解明する。
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Research Products
(4 results)