2010 Fiscal Year Annual Research Report
生細胞経時観察法を用いたイネのいもち病抵抗性応答におけるミトコンドリアの機能解析
Project/Area Number |
22780044
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
望月 進 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, 特別研究員 (40567020)
|
Keywords | ミトコンドリア / イネ / いもち病菌 / 病害抵抗性 / ライブイメージング |
Research Abstract |
これまでに非親和性組み合わせでのみ、いもち病菌が侵入したイネ細胞に向かってミトコンドリアが局在することがわかっていた。本年度は、イネへの病原性に関与するいもち病菌遺伝子変異体を用い、ミトコンドリア局在変化と抵抗性反応の関係性を調べた。まず、形態的にイネ細胞への侵入能を欠損した変異体をイネ葉鞘に接種した。付着器の成熟能欠損変異体sdhと侵入糸形成能欠損変異体mst12のいずれの変異体を用いた場合でも、非親和性組み合わせで見られたミトコンドリアの局在変化が観察されなくなった。このとき、自家蛍光性物質の蓄積や細胞内顆粒の褐変化も見られなかった。次に、親和性組み合わせでも活性酸素増加や褐変化顆粒形成といった抵抗性反応様応答をイネ細胞に誘導する変異体ssd1をイネ葉鞘に親和性組み合わせで接種した。その結果、細胞内顆粒の褐変化が見られた細胞に向かって、周辺細胞のミトコンドリアが強く局在することが明らかになった。以上の結果とこれまでの知見を併せて考えると、イネミトコンドリアの局在変化は抵抗性反応と連動して起こることが強く示唆され、イネミトコンドリアがいもち病菌に対する防御応答に関与するオルガネラの1つである可能性が高まった。また本年度は、これまでの経時蛍光観察法の改良を行った。既存の方法で問題だった自家蛍光や散乱光を抑制し、イネ細胞の通気性を保つために、葉鞘裏面切片の馴化条件ならびに用いる封入剤を検討した。その結果、葉鞘裏面切片の馴化は水浴上で12~24時間が最適であり、また、封入剤は通気性の高い200cStジメチルポリシロキサンを用いると良いことがわかった。この方法は蛍光蛋白質を用いた他の細胞生物学的解析にも適用することができ、感染過程で発現する遺伝子群の機能解析や細胞レベルでの生理的・生化学的解析に向けたツールにもなり得ると考えられる。
|
Research Products
(3 results)