2010 Fiscal Year Annual Research Report
オオタバコガ休眠蛹の細胞膜脂質の低温への適応と、羽化への発達によるその喪失
Project/Area Number |
22780046
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
泉 洋平 岡山大学, 資源植物科学研究所, 技術職員 (10457210)
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Keywords | 昆虫 / 脂質 / 休眠 / 低温耐性 |
Research Abstract |
熱帯起源の侵入害虫による農作物等への被害が、南西諸島のみならず本島でも最近大きな問題となっている。この分布拡大の大きな要因は地球温暖化であろう。しかし、本島に侵入したこれらの害虫が今後北に分布を拡大するための最も大きな制限要因は冬季の低温と考えられる。そのため、今後熱帯起源の侵入害虫の分布拡大を予測するためには、その害虫の低温耐性の詳細を知ることが重要である。本研究では、熱帯起源であり凍結耐性を持たないオオタバコガを用いて、休眠および低温順化による細胞膜リン脂質の低温への適応、および羽化への発達に伴う細胞膜リン脂質の再構築の低温障害に及ぼす影響について明らかにする事を目的として以下の研究を実施した。 オオタバコガは休眠誘導に関して日長感受性を持つ個体群と持たない個体群が存在する。日長感受性を持たない個体群も低温にさらされると休眠が誘導されるが、低温耐性は日長感受性を持つ個体群よりも低い。この低温耐性の違いが休眠誘導の違いとどのように関わっているのかを明らかにするために、短日(10L14D)・20℃で休眠を誘導した蛹(SD)、長日(16L8D)・15℃で休眠を誘導した蛹(LT)の低温による障害およびリン脂質の変化について比較検討を行ったところ、SDの半数致死日数はLTよりも長かった。さらに、両者の生存率と羽化日数の間には相関が見られ、両者の休眠深度の違いが0℃での半数致死日数に関わっていることが示唆された。また、24時間処理による半数致死温度もSDの方がLTよりも有意に低かった。両者のリン脂質を比較すると、SDのほうがLTよりも低温順化により脂肪酸の不飽和度は高く、低温でも流動性を保つことが明らかとなった。これらの結果から、日長感受性と非感受性個体群の低温耐性の違いは休眠誘導の違いによる物であることが示唆された。
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Research Products
(10 results)