2012 Fiscal Year Annual Research Report
アゲハチョウ成虫の配偶行動に作用するインフォケミカルに関する研究
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22780047
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大村 尚 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (60335635)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | アゲハチョウ / 体表成分 / 香気成分 / 配偶行動 / 種間識別 / 異性認知 / 味覚感覚子 / 成分分析 |
Research Abstract |
シロオビアゲハ、ナミアゲハ雄成虫の①前脚切除または②全ての脚のふ節をマニキュア被覆する処理を行い、野外網室において同種未交尾雌に対する処理雄の配偶行動を動画撮影し、行動パターンの要素解析を行った。処理を施さない対照雄と比較して処理雄の交尾成功率は若干低下したが、触診→交尾にいたる行動要素に大きな変化はみられなかった。この事実から、1) 触診行動では配偶行動の制御に必須かつ決定的なシグナルを受容していない、2)同種の認識よりも異種の識別において重要なシグナルを受容する、二通りの可能性が示唆された。 シロオビアゲハ、ナミアゲハ成虫の前脚第5ふ節毛状感覚子を対象にして、体表脂質に対する味覚応答を詳細に調べた。毛状感覚子をふ節中央部分のMSTと側面部分のLST、2種類に区分して応答を比較した。体表脂質応答は主にLSTで測定され、シロオビアゲハで4割超、ナミアゲハで7割のLSTが正常な応答を示した。シロオビアゲハのMSTは体表脂質に殆ど応答しなかったが、ナミアゲハのMSTでは約4割が正常な応答を示した。加えて、雄のみならず雌の毛状感覚子でも体表脂質に応答する、同種の雌雄成虫および異種の雌雄成虫の体表脂質に対しても味覚応答することを確認した。これらの事実から、1)体表脂質に対する応答は主にLSTが担いその応答特性は雌雄共通である、2)毛状感覚子は種や雌雄を問わず様々なプロフィールの体表脂質に応答する、ことがわかった。 ジャコウアゲハの雄成虫が有する特異的な匂いの主成分を明らかにするため、累代飼育した27個体から主要成分を単離し、その構造をγ-Himachalene骨格を有する酢酸エステルと決定した。このセスキテルペン誘導体は新規物質であり、ジャコウアゲハの雄特異的な匂い成分と考えられる。この化合物は主に雄の胸部に集中し、交尾によってその一部が雌の虫体に移行することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)