2010 Fiscal Year Annual Research Report
アゲハチョウ類の寄主認識に関与する化学受容機構と食性進化の解明
Project/Area Number |
22780052
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Research Institution | JT Biohistory Research Hall |
Principal Investigator |
尾崎 克久 株式会社生命誌研究館, 研究部門, 研究員 (60396223)
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Keywords | 7回膜貫通型タンパク質 / odorant binding protein / chemosensory protein / 味覚受容体 |
Research Abstract |
既存のナミアゲハ雌ふ節cDNAライブラリーに加え、シロオビアゲハ・クロアゲハの雌ふ節cDNAライブラリーを作成、2万クローンずつ塩基配列を決定した。先に配列決定を完了したシロオビアゲハのデータについて、ゲノムアセンブル用のソフトウエアを用い、塩基配列をクラスタリングした。得られたユニーク配列を用いてホモロジー検索を行い、アノテーション可能なものを収集した。この結果、化合物を運搬する役割を持つ可能性があるodorant binding protein (OBP)候補遺伝子を3種、chemosensory protein (CSP)候補遺伝子を13種類発見した。 既知遺伝子のデータベース探索では7回膜貫通型タンパク質の候補配列は見つからなかったため、アノテーションができていない配列をアミノ酸配列に変換し、膜貫通領域の有無を調べた。この時点で、シグナルペプチドを有するものは分泌タンパクとして解析から除外、膜貫通領域を持たない水溶性タンパクも同様に除外し、膜タンパクと推定されたものについては全長配列を決定した。7回膜貫通型タンパク質と思われる配列が6種類見つかったが、うち4種類はロドプシンタイプであると推定されたため、おそらく神経伝達など化学受容とは別の機能を持つものと考えられる。残り二つは、膜貫通ヘリックスとループ領域のトポロジーが昆虫化学受容体ファミリーであると予想され、部分的にナミアゲハ味覚受容体と類似性を示したことから、重要な候補遺伝子と考えられる。 クロアゲハのライブラリーについては塩基配列決定作業が完了したので、現在シロオビアゲハと同様の解析を行っている。 ほぼ計画通りに研究を遂行し、新規の味覚受容体候補遺伝子を発見した。今後機能解析を行うことで、化合物認識機構の解明につながる重要な進展であると思われる。
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Research Products
(3 results)