2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおける光化学系ATP生産能力の増強による光合成機能の改良
Project/Area Number |
22780055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 雄二 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (80374974)
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Keywords | イネ / 光合成 / ATP生産 / 過剰発現 |
Research Abstract |
高等植物の光合成光化学系によるATP生産は,現在の大気条件下や将来的に予測される高CO_2環境下の光合成速度を律速する有力な候補である.これを司るのは葉緑体チラコイド膜に存在する葉緑体型ATPase複合体であり,そのサブユニット構成はは核コード3分子種および葉緑体コード6分子種となっている.このように葉緑体型ATPaseのサブユニット構成は非常に複雑であり,量的増強を試みた研究例は世界的に見てもこれまでにない.そこで,イネにおける葉の光合成能力の増強をねらい,核コードのサブユニットの過剰発現を行うこととした. 本年度は、ATPC(Os07g0513000), ATPD(Os02g0750100)およびATPG(Os03g0278900)を3重過剰発現するベクターを構築することを試みたが,現在のところ成功には至っていない.先行して各サブユニットの結合とATPase活性の制御を担っているATPDを単独で過剰発現するベクターおよびコントロールとしてアンチセンス法により発現抑制するベクターを作成し,イネの形質転換を行った.その結果,過剰発現体および発現抑制体がそれぞれ10系統および16系統得られた.しかしながら,葉緑体型ATPaseの量が大きく変化した形質転換体は獲られなかった.したがって,イネにおいて葉緑体型ATPaseの量を改変するためには,ベクターの設計を含めたストラテジーを再考する必要がある.また,Rubisco量を特異的に増加させた形質転換体イネでは,光合成の律速段階がATP供給であるよりもカルビンサイクルの代謝が滞っていたためであると考えられる結果も得られたので,光合成能強化のストラテジー自体にも再考の余地があると考えられる.
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Research Products
(5 results)