2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原糸状菌の光センシングに関わる光受容体の解明と光応答の多様性に関する研究
Project/Area Number |
22780067
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
木原 淳一 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (40294368)
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Keywords | 植物病原糸状菌 / 光受容 / 紫外線 / 光応答 / メラニン / 分生胞子形成 / 遺伝子発現 / 発光ダイオード |
Research Abstract |
イネごま葉枯病菌をモデルとして、植物病原糸状菌が光環境を認識するための光センシングに関わる光受容体と光反応の多様性を明らかにすることを目的として研究を行った。 イネごま葉枯病菌では、これまでに、青色光受容体遺伝子(BoBLR1/BoBLR2)、及び、オプシン様光受容体遺伝子(BoOPS1/BoOPS2)をクローニングしている。今回、イネごま葉枯病菌から、PCR-based Cloningにより、フィトクロム様光受容体遺伝子(BoPHY1)、及び、クリプトクロム様光受容体遺伝子(BoCRY1)をクローニングした。本研究により、イネごま葉枯病菌の光センシングに関わる光受容体の存在が概ね示されたものと考えられた。さらに、イネごま葉枯病菌から、これら光受容体の足場タンパク質と考えられるVeAの遺伝子(BoVeA)、及び、その下流の二次代謝制御因子と考えられるLaeAの遺伝子(BoLaeA)をクローニングした。これら遺伝子破壊株を作出するため、アグロバクテリウムを用いた形質転換系の確立を昨年度に引き続き検討したが、イネごま葉枯病菌では、形質転換体を得ることができなかったため、今後、従来のPEG法により、これら遺伝子破壊株の作出を試みる予定である。また、イネごま葉枯病菌を用いて、近紫外線照射により発現が増加する遺伝子のスクリーニングを引き続き行ない、新たに30以上の新規な光応答性遺伝子の存在を明らかにした。 一方、分生胞子形成に影響を及ぼす光以外の因子の探索を行った。イネごま葉枯病菌との対峙培養によって、イネごま葉枯病菌の分生胞子形成を有意に促進する糸状菌(D1菌株)を得た。この現象は,イネごま葉枯病菌とD1菌株のそれぞれの菌糸が直接接触していなくても認められたことから、何らかの物質がイネごま葉枯病菌の分生胞子形成を促進していることが考えられ、今後、この物質の単離を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アグロバクテリウムを用いた形質転換がイネごま葉枯病菌には適用できなかったため、光受容体遺伝子の破壊株を作出できなかった。紫外線応答性シスエレメントを特定するための解析が進展しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
光受容体遺伝子破壊株の作出を従前のPEG法により行なう。紫外線応答性シスエレメントの特定に向けて、複数の解析方法を試みる。
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Research Products
(1 results)