2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学技術を駆使した高度水素生産に有用な遺伝子の網羅的探索および機能向上化
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22780070
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 憲成 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 准教授 (00470592)
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Keywords | 水素 / バイオテクノロジー / 微生物 / 生体機能利用 / 遺伝子工学 / 遺伝子機能解析 / 発酵 |
Research Abstract |
本研究は、遺伝子工学技術(多重変異株作製技術、DNAマイクロアレイ技術や遺伝子改変技術など)を駆使して、大腸菌の水素生成経路および水素生産能を活性化させることによって、水素ガスを高度生産化できる菌株を構築することを研究目的とする。平成23年度では、平成22年度での優秀若手研究者海外派遣制度による成果に基づき、今まで知られていなかった幾つかの水素生成に関わる遺伝子に対する遺伝子機能を追究した。具体的な研究成果は次の通りである。 1.大腸菌のKEIO変異株ライブラリーの全種類を使い、グルコースまたはギ酸を基質した場合に水素ガスの生成が増加または低減する変異株の探索を行い、ydjAとjhjYの遺伝子変異株では、水素ガス生成が著しく低下するということを、水素発酵の結果より明らかにした。これらの遺伝子は、現在のところ、水素ガス生成への関与が報告されていない遺伝子である。 2.ydjAおよびjhjYの遺伝子変異株に着眼して、遺伝子変異の確認、水素発酵、発酵時における有機酸分析、比増殖速度、遺伝子発現解析などを統括的に行い、ydjA遺伝子変異においては、水素生成に強く関与しているFHL複合体の遺伝子発現が低下していることを突き止めた。特に、FdhFの過剰発現により水素発酵におけるydjA遺伝子変異の影響が緩和されたことから、ydjAがfdhF遺伝子の機能または遺伝子発現を調節していることが示唆された。同様に、ydjA遺伝子変異では、pflB遺伝子の機能が著しく低下していることがわかり、この遺伝子が転写レベルで、PFLの活性化に関わっていることが明らかとなった。 3.大腸菌によるグリセロールからの水素発酵において、ヒドロゲナーゼ3とヒドロゲナーゼ2の機能が重要であることを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度では、ydjAおよびjhjYの遺伝子機能解析、およびグリセロールからの水素発酵におけるヒドロゲナーゼの関わりの解明がほぼ終わり、2報の学術論文を投稿準備中であり、研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も同コンセプトに基づき、研究を推進していく。遺伝子機能解析を進める上で、従来通りの遺伝子発現解析の着眼点のみならず、タンパク質相互作用やタンパク質成熟化の視点も取り入れ、研究を実施する。
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