2010 Fiscal Year Annual Research Report
トリミエマ原虫共生系を用いた細胞内共生研究モデルの構築
Project/Area Number |
22780071
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新里 尚也 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (00381252)
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Keywords | 細胞内共生 / メタン生成菌 / ゲノム / 原生動物 |
Research Abstract |
1共生体の機能推定 トリミエマ原虫に共生する機能未知の真正細菌共生体の機能解析を目的に、共生体を抗生物質により選択的にトリミエマ共生系より脱落させ、宿主の増殖特性と有機酸等の代謝産物の挙動を解析した。真正細菌共生体は、様々な抗生物質を試験した結果、エリスロマイシン、リファンピシン、テトラサイクリンで欠落する事が示された。テトラサイクリンで処理したトリミエマ原虫は最大細胞数が、共生体を維持している株と比較して、4割程度に低下する事がわかった。過去の研究から、共生体の機能を補完するとされたステロールの添加〓効果を示さなかった事から、共生体の機能がステロール供給ではない可能性が示された。 2長期保存技術の確立 トリミエマ原虫の凍結保存による長期保存法の確立を目指して、様々な保護剤や添加剤の検討を行った。凍結保護剤として、グリセロール、DMSO、エチレングリコール、プロピレングリコール、添加剤としてスクロースとトレハロースの添加を行って、-80℃での凍結保存を試みた。その結果、グリセロールでは1回の凍結でほぼ全ての細胞が破砕されていた。DMSOやエチレングリコールでは原型を留めている細胞も見られたが、継代培養を行っても生育は認められなかった。以上の結果から、凍結保護剤を併用した凍結保存は非常に難しい事が明らかとなった。その一方で、4℃で培養液のまま保存した株は、いくつかの細胞が3ヶ月程度生存している事が示された。今後は、凍結保存にこだわることなく、様々な保存方法を試みる事が必要であると考えられた。
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