2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルギン酸膜への光触媒複合化と新規種子殺菌法の構築
Project/Area Number |
22780073
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
森田 洋 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (30321524)
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Keywords | 微生物制御 / 光触媒 / 環境 / 種子殺菌 / 大腸菌 / アルギン酸 |
Research Abstract |
平成22年度では、1)光触媒のアルギン酸膜への複合化と高い殺菌機能性の付与、2)光触媒の分散性向上、3)他の製膜法及び従来法との殺菌機能性比較、を行った。光触媒のアルギン酸膜への複合化では、2段接触法(特許2009-014483)を応用することで、分散性の高いアルギン酸膜の創製に成功した。つまり、1段目(低濃度の2価金属塩とアルギン酸塩を接触させて、弱いゲルを調製するプロセス)に可視光応答型光触媒(S-TiO_2)を複合化させた後、スプレーガンによりガラス板にコーティングを行った後に乾燥を行い、高濃度の2価金属塩と1段目のアルギン酸塩ゲルを接触させて、高い強度の膜を生成するプロセス(2段目)を行うことで得た。本膜の殺菌機能はS-TiO_2に銅を共存させることにより相乗的な殺菌効果が認められ、30000Lx及び1700Lxの光強度において、3時間の接触で最大7オーダー程度の大腸菌数の低下が確認された。この殺菌活性は、他の製膜法であるフィブロイン膜や、光触媒の固定化担体として市場において広く使用されているナフィオン樹脂(デュポン社)と比べても、はるかに高い殺菌機能性であった。また本研究の最終目的でもある種子殺菌を考えると、本膜を種子殺菌しやすい形に成型加工することが重要な課題となることから、光触媒を複合化したアルギン酸ゲルをビーズ状に成型加工を行ったものについて殺菌機能性を評価した。その結果、スプレーコーティングした光触媒複合化アルギン酸膜と同等の高い殺菌活性が得られた。平成23年度は、1)高機能性アルギン酸膜の種子殺菌効果と最適化試験、2)種子殺菌スペクトルの解明、3)種子発芽率の低下及び成長遅延の影響、4)水耕栽培全体の微生物制御も視野に入れた殺菌効果の持続試験、について研究を行い、新規種子殺菌法の構築を目指す。
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