2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルギン酸膜への光触媒複合化と新規種子殺菌法の構築
Project/Area Number |
22780073
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
森田 洋 公立大学法人北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (30321524)
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Keywords | 微生物制御 / 光触媒 / 環境 / 種子殺菌 / 大腸菌 / アルギン酸 |
Research Abstract |
平成24年度では、1)高機能性アルギン酸膜の種子殺菌効果と最適化試験、2)グラム陽性菌及び陰性菌による種子殺菌評価、3)種子発芽率の低下及び成長遅延の影響、4)カイワレ生産農家で使用している種子を用いた殺菌処理の実証的研究について行い、新規種子殺菌法の構築を目指した。 高機能性アルギン酸膜の種子殺菌効果と最適化試験では、アルギン酸膜を平膜ではなく、ビーズ状(平均粒径:2.16mm)に成型加工することで、光触媒S-TiO_2+Cu(7wt%)におけるカイワレダイコン種子の種子殺菌性能を飛躍的に向上させることが可能となった。グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌とグラム陰性菌である大腸菌の2種の汚染種子をそれぞれ調製し、25℃で20000 lxの可視光を照射することにより、種子殺菌を試みた結果、11h以上処理することにより大腸菌を、12h以上処理することにより黄色ブドウ球菌を完全に制御することが可能であった。また、このときの種子の発芽率・カイワレダイコン全長は、未処理で栽培した種子とほぼ同等の値を維持していた。磁器タイルおよびアルマイト板にS-TiO_2+Cuを高速フレーム溶射した光触媒で、同様に大腸菌の汚染種子を調製して種子殺菌を試みたところ、20000 lx,15hの接触では殺菌効果がほとんど認められなかった。更に、カイワレ生産農家が使用している種子を用いて、種子に含まれる一般細菌を対象として同様に種子殺菌の実証的研究を行った。その結果、10^6CFU/seedもの細菌に汚染されていた種子の菌数を20,000 lx,12時間の接触により、約4.5オーダーの殺菌効果が認められた。また光触媒がカイワレ農家使用種子の発芽・生長に与える影響はほとんど認められなかった。 以上の結果より、アルギン酸膜に包括固定化した光触媒は、種子の発芽や成長に影響を与えることなく種子殺菌が可能となったことから、今後防菌防黴分野などへの幅広い利用が期待できる。
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