2010 Fiscal Year Annual Research Report
Spx蛋白質を介した乳酸菌の酸素分圧応答機構の解明
Project/Area Number |
22780074
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山本 裕司 北里大学, 獣医学部, 講師 (10453507)
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Keywords | 乳酸菌 / 酸素 / ストレス / 転写制御 / 活性酸素 / Spx |
Research Abstract |
乳酸菌は糖源を資化して乳酸を産生する菌の総称であり、人間や動物の腸管をはじめとして自然界に広く分布する。申請者は、乳酸菌と酸素との関係に注目し、新たな乳酸菌の培養・育種法の開発、宿主内における適応機構の解明を目指してきた。本研究課題では、特に「乳酸菌の酸素分子認識機構」に焦点を絞り、申請者が同定した制御因子であるSpxの制御メカニズムについて解析を行うことで、乳酸菌の酸素応答機構に関する基礎的知見を得ることを目的とした。 Spxは枯草菌で潜在的なレドックスセンサーとして報告されているRNAポリメラーゼ結合蛋白質で、ポリメラーゼの転写特性を変化させることでグローバルに転写を制御すると報告されている。申請者はこれまでに乳酸菌の一種、口腔内連鎖球菌の酸素応答に関与する制御因子としてSpxAおよびSpxB両蛋白質を同定しており、本年度はSpxが結合するとされているRNAポリメラーゼα-サブユニットとの結合特性を表面プラズモン共鳴法で解析した。その結果、いずれのSpx蛋白質もα-サブユニットと結合すること、酸化状態で結合量が増加することが明らかとなり、Spx分子自身の酸化還元状態の変化がセンサーとして機能している可能性が示唆された。現在カイネティクス解析を行い、それぞれのSpx分子の解離定数の算出を試みている。また、動物の腸管内に生息する乳酸菌においてSpxがどのような機能を担っているのか検討するため、ヒトや動物の腸管に棲息するLactobacillus reuteriのspx欠損株作製を試みている。
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