2012 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌の分泌・代謝機能を改変する変異の探索とその活用
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22780078
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
稲岡 隆史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品バイオテクノロジー研究領域, 主任研究員 (40391205)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | ペントースリン酸経路 / グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子 / ネオトレハロサジアミン / メタボローム / 枯草菌 |
Research Abstract |
前年度までに枯草菌のアミラーゼ分泌能を向上させる変異としてウンデカプレニル2リン酸合成酵素の遺伝子変異を同定し、その変異株の特性解析を行なってきた。 今年度は、前年度までの結果を取り纏めて論文を執筆するとともに、新たに代謝機能を改変する変異の探索を試みた。ペントースリン酸(PP)経路はNADPHや核酸合成に必要であり、多くの二次代謝生合成に関与していることが知られている。そこで枯草菌のPP経路の各破壊株の特性を解析していたところ、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼをコードするzwf遺伝子破壊株がLB天然培地では正常に増殖するにも拘らず、グルコースを含む半合成培地では著しく増殖能が低下することを見出した。興味深いことに、グルコーストランスポーターをコードするglcP遺伝子の破壊がzwf破壊株の増殖を回復することがわかった。これら破壊株のメタボローム解析を行なったところ、zwf破壊株ではPP経路の代謝産物やNADPH量が顕著に低下していた。一方、zwf glcP二重破壊株ではPP経路の代謝産物は依然として低下していたが、TCAサイクルの代謝産物が顕著に増加しており、細胞内NADPH量も野生株レベルに回復していることがわかった。GlcPタンパク質は枯草菌の二次代謝産物ネオトレハロサジアミン(NTD)生合成遺伝子(ntdABC)の発現を抑制していることから、zwf ntdABC glcP 三重破壊株で同様の実験を行なったところ、この株ではzwf破壊株と同様に増殖能は低下したままであり、zwf glcP二重破壊株で観察された代謝産物量の変化も観察できなかった。以上のことから、glcP遺伝子破壊によるzwf破壊株の増殖回復効果はNTD合成を活性化することによりTCAサイクルの代謝中間体が蓄積し、TCAサイクルを通して細胞内NADPH量を増加させたことによるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)