2011 Fiscal Year Annual Research Report
微生物センサーを利用した新規スクリーニング法の開発
Project/Area Number |
22780081
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
内山 拓 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究員 (70450658)
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Keywords | メタゲノム / 転写制御因子 / 有用微生物スクリーニング / ハイスループットスクリーニング / 酵素 / フローサイトメーター / ゲルマイクロドロップ / 産業用酵素 |
Research Abstract |
我々は酵素の活性スクリーニング法、PIGEX(Product Induced Gene Expression)法を考案し、その有効性を報告している。当該法は、特定の化合物をマーカー遺伝子の発現で検知可能な微生物センサーをもちいて、メタゲノムライブラリーや微生物ライブラリーから目的の陽性クローンや陽性株をスクリーニングする手法である。我々は今回の研究提案にてPIGEX法に、ゲルマイクロドロップ法とフローサイトメーターによるソーティングを組合わせることによって当該法の高速化を試みている。平成22年度において、我々はモデル系としてセンサー細胞として安息香酸に反応し緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するクローンと、陽性クローンとして安息香酸アミドを安息香酸に変換するクローンをもちい、これら2種類のクローンをゲルマイクロドロップ内に閉じ込め、フローサイトメーターによるソーティングでGFPの発現が認められたゲルマイクロドロップが回収可能であるか確認試験をおこなった。その結果、GFPの発現が認められたセンサー細胞と陽性クローンを含むゲルマイクロドロップの回収に成功し、ゲルマイクロドロップとフローサイトメーターによりPIGEX法の高速化が期待できることを明らかにした。平成23年度は平成22年度に作成したモデル系を基に、当該法の改良と実施をおこなった。はじめにセンサー細胞の改良をおこなった。センサー細胞に自殺遺伝子を組み込むことにより、センサー細胞と陽性クローンを含むゲルマイクロドロップを回収後、自殺遺伝子を発現させることによってセンサー細胞だけを死滅させる系の構築を試みた。この系は、センサー細胞をヌクレオシドアナログをリン酸化するウイルス由来チミジンキナーゼ遺伝子で形質転換させ、その結果ヌクレオシドアナログがDNA複製時にDNA内に取り込まれ、変異が蓄積して細胞死に至るというものである。ウイルス由来チミジンキナーゼ遺伝子を保持したベクターをもちいてセンサー細胞を形質転換させた。実験の結果、対数増殖期あるいは生育静止期にある、ウイルス由来チミジンキナーゼ遺伝子で形質転換させたセンサー細胞に、ヌクレオシドアナログ100uM以上を与えると、10の8乗以上の細胞数であっても、完全に死滅させることをあきらかにした。またゲルマイクロドロップで回収した後、ヌクレオシドアナログを加えることによっても、ウイルス由来チミジンキナーゼ遺伝子で形質転換させたセンサー細胞を死滅させ、陽性クローンだけを回収することにも成功した。モデル系を完成させることができたので、次に当該方法をもちいたスクリーニングをおこなった。メタゲノムライブラリーから、当該方法をもちいることにより、安息香酸アミダーゼ活性を示す陽性クローンの回収に成功した。一方で、同法で環境サンプルから陽性菌株の単離をこころみたが、得ることができなかった。
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Research Products
(1 results)