2010 Fiscal Year Annual Research Report
動的代謝プロファイリング解析による発酵阻害機構の解明と高ストレス耐性酵母の創製
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22780092
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
蓮沼 誠久 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 講師 (20529606)
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Keywords | 酵母 / 代謝解析 / バイオエタノール / 発酵阻害物質耐性 / メタボローム |
Research Abstract |
化石資源への依存から脱却し,エネルギーセキュリティを確保するための,重要な手段であるバイオエタノール生産において,エタノール生産菌である酵母の発酵能力を向上させることを目的として,発酵阻害物質に対する耐性の高い酵母の創製を最終目的として研究を行っている。22年度は,エタノール生産中の酵母の代謝機能を解析するための分析技術の開発に着手し,代謝生合成経路の中間代謝物質が細胞内で酵素反応により変換する様子を観測することが可能なシステムの開発を進めてきた。具体的には,エタノール生合成経路(解糖系,ペントースリン酸回路など)の速い代謝反応速度に対応した,高速サンプリング・クエンチング手法を確立した。また,安定同位体炭素で標識したグルコースを炭素源とする発酵を行うことで標識手法の検討を行った。また,キャピラリ電気泳動・質量分析計を用いた標識化合物の検出方法と標識率の解析方法の検討を行った。さらに,バイオマスからのエタノール生産における最も主要な発酵阻害物質である酢酸およびギ酸存在下での発酵試験を行い,弱酸系発酵阻害物質がペントースリン酸回路の代謝フラックスを遅延させることを明らかにすることができた。本研究の成果は網羅的代謝解析に基づいて酵母の発酵阻害応答を観測した点で,世界的に見てもオリジナリティが高く,本研究のアプローチが発酵阻害物質耐性の高い酵母を創製する上で有効な手段であることを世界に先駆けて示すことができた。
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Research Products
(7 results)