2011 Fiscal Year Annual Research Report
ユニークな基質特異性を持つグリコシダーゼの機能解明から有用糖鎖合成酵素への変換
Project/Area Number |
22780095
|
Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
本多 裕司 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40399382)
|
Keywords | エキソ-β-D-グルコサミニダーゼ |
Research Abstract |
特殊な環境下で生育する生物のゲノムには、新規なグリコシダーゼ(GH)遺伝子が存在する可能性が秘められている。我々は2,500mの深海から発見されたPhotobacterium profundam SS9からファミリー9に属するGH遺伝子をクローニングして組み替え体酵素を作製した。本酵素はキトサンオリゴ糖[(GlcN)n,n=重合度]を結合加水分解するアノマー反転型エキソ-β-D-グルコサミニダーゼであった。通常、アノマー反転型酵素は糖転移反応を触媒しないが、触媒基を置換した変異型酵素とフッ化糖を反応させると糖鎖合成酵素に変換できる。本研究では、アノマー反転型酵素である本酵素を糖鎖合成化するために、触媒基を置換した様々な変異型酵素を作成した。また、糖鎖合成酵素化にはグルコサミンのフッ素誘導体が糖供与体として必要となるので、その合成法を確立した。このグルコサミンのフッ素誘導体と変異型酵素を用いると、オリゴ糖を合成する事が確認された。 食虫植物の消化液中にキチン分解酵素が存在していることが判明していたが、その詳細な酵素学的性質は解明されていなかった。本酵素はプロテアーゼ等の昆虫消化酵素が共存する特殊な環境下に存在するので、まだ知られていない機能性が発見される事が考えられた。詳細な機能解析の結果、本酵素はキチンを加水分解せずに、キチンオリゴ糖のみを加水分解するユニークな基質特異性を持つ酵素であった。加水分解機構を調べてみると、上記のエキソ-β-D-グルコサミニダーゼと同じアノマー反転型酵素であった。さらに酵素反応の温度依存性を調べてみると、他の類縁酵素と比較して高めの温度でも反応する事が判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
変異型エキソ-β-D-グルコサミニダーゼによる糖鎖合成反応も確認できたので、計画通り糖鎖合成酵素化する事にも成功した。また、当初は深海性細菌由来の酵素だけを研究対象にしていたが、食虫植物の消化液という特殊な環境下で作用する酵素についてもユニークな基質特異性を持つ酵素を発見する事ができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって、特殊な環境下で生育する生物からユニークな性質を持つ酵素を得る事ができた。さらに、糖鎖合成酵素化によるオリゴ糖合成反応を確認することができたので、糖鎖合成酵素化に最適なアミノ酸残基を探索するとともに、その糖鎖合成反応の反応機構を解明ずち。また、酵素機能の解明には立体構造からの情報も必要となってくるので、酵素のX結晶構造解析も検討する。
|
Research Products
(4 results)