2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規構造をもつ色素依存性プロリン脱水素酵素の構造と機能解析
Project/Area Number |
22780098
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
里村 武範 福井大学, 大学院・工学研究科, 講師 (50412317)
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Keywords | 色素依存性脱水素酵素 / 超好熱菌 / L-プロリン脱水素酵素 / バイオセンサー / バイオ電池 |
Research Abstract |
本申請では現在までに報告されている色素依存性プロリン脱水素酵素(Dye-L-ProDH)とは一次構造が大きく異なるPyrobaculum calidifontis、Aeropyrum pernix由来の2種類の新規Dye-L-ProDHの機能と構造を明らかにする目的で研究を行った。平成22年度研究分において、これら2種の新規Dye-L-ProDHの酵素化学的性質の解析が終了したため、本年度はタンパク質結晶化条件の検討とDye-L-ProDHのタンパク質立体構造の解析を行った。 その結果、Aeropyrum pernix由来Dye-L-ProDHについて1.9Åの解像度で立体構造を明らかにすることに成功した。本酵素の立体構造は既知のPyrococcus horikoshii由来のヘテロオリゴマー型Dye-L-ProDHのL-プロリン脱水素酵素活性サブユニットであるβサブユニットと高い相同性が認められた。しかしながら、既知のDye-L-ProDHとはサブユニット間の境界面が大きく異なっていることが明らかとなった。さらに、本酵素のC末端側のペプチド鎖が活性触媒部位をシールドしていることが明らかとなった。特にC末端のロイシン残基は基質であるプロリンと水分子を介して水素結合をすることによって相互作用をしていることが明らかとなった。そこで、本酵素のC末端のロイシンを取り除いた変異タンパク質(ΔLeu-Dye-L-ProDH)を作成したところ本酵素のプロリンに対する親和性が大幅に減少することが明らかとなった。現在、ΔLeu-Dye-L-ProDHの結晶構造解析を進め、C末端アミノ酸のロイシンと基質との親和性の相関関係を明らかにしていく予定である。本研究成果はBioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌に掲載された。さらに、現在The Journal of Biological Chemistry誌にも投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画における最大の課題であったDye-L-ProDHの結晶化と立体構造解析に成功したため本年度の研究目的はほぼ達成できたと考えている。しかしながら、本酵素の細胞内での発現条件などの生理機能は未だ未解明であるため、今後は本酵素の生理機能の解析にも重点を置き研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のようにホモダイマー型の色素依存性L-プロリン脱水素酵素の結晶構造解析に成功した。今後は明らかにした本酵素の立体構造を元に、基質親和性の検討と酵素の基質特異性の検討を進めていく予定である。また、本酵素の生理的な意義についても検討していく予定である。
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Research Products
(3 results)