2010 Fiscal Year Annual Research Report
カルジオリピンの合成に基づくシトクロムc‐カルジオリピン複合体形成の分子機構解明
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22780103
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 真人 京都大学, 農学研究科, 助教 (30543425)
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Keywords | カルジオリピン / シトクロムc / ペルオキシダーゼ活性 / アポトーシス / リポソーム / 有機合成 |
Research Abstract |
カルジオリピン(CL)はミトコンドリア内膜に偏在する、特殊な化学構造を持ったリン脂質である。これまでの研究かCLは呼吸鎖酵素やトランスポーターの活性発現に必須とされるだけでなく、酸化ストレス下のアポトーシス初動反応において鍵となる反応にかかわっていることがわかっている。それはシトクロムc(cyt.c)との複合体形成によるペルオキシダーゼ活性の発現であり、現在のところ詳細なメカニズムはわかっていない。そこで、本研究ではcyt.cとの複合体形成においてCLに要求される構造因子を特定し、更に詳細な知見を得るべく、CLライブラリーの充実化を進めた。本年度は、8種類の新規CL類縁体を合成した。脂肪酸組成の異なるCL類縁体についてcyt.cとの複合体形成によるペルオキシダーゼ活性について詳細な比較検討を行った。この結果、これまで重要とされてきたCLの脂肪酸部にみられる不飽和結合はcyt.cとの複合体形成によるペルオキシダーゼ活性の発現には必須ではないことが明らかになった。このことから、cyt.cとの複合体形成においてCLの極性頭部の静電的相互作用が重要性を増してきた。興味深いことに、極性頭部の構造の異なるCL類縁体について比較検討を行った結果、極性頭部を構成するグリセロールを改変してもペルオキシダーゼ誘導活性に大きな変化は見られなかった。このことから、CLの極性頭部はcyt.cによって厳密に識別されているとは考えにくいことが示唆された。さらに詳細に、cyt.cとの複合体形成について考察するために、各CL類縁体との共沈実験を開始し、それぞれの親和性について精査している。
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Research Products
(5 results)