2011 Fiscal Year Annual Research Report
カルジオリピンの合成に基づくシトクロムc-カルジオリピン複合体形成の分子機構解明
Project/Area Number |
22780103
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 真人 京都大学, 農学研究科, 助教 (30543425)
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Keywords | カルジオリピン / シトクロムc / アポトーシス / ペルオキシダーゼ活性 |
Research Abstract |
【背景と目的】カルジオリピン(CL)は、ミトコンドリア内膜に局在するリン脂質であり、種々のトランスポーターの機能制御に必須の成分である。近年の研究から、CLがミトコンドリア経由のアポトーシス誘導にも関与することがわかってきた。特に、シトクロムc(cyt c)のミトコンドリア外漏出についてはCL-cyt c複合体の形成に伴うペルオキシダーゼ活性の誘導が鍵反応と考えられている。これまでのところ、CL-cyt c複合体の形成にはCL脂肪酸部の不飽和結合が重要と考えられてきた。そこで、本研究では、所属研究室で確立したCL全合成法に則って一連のCLライブラリを構築し、CL-cyt c複合体形成に要求されるCLの化学構造因子を精査することを目的とした。 【結果】CLライブラリは脂肪酸部と極性頭部のそれぞれについて改変した一連の類縁体10種類を合成した。これらを用いたリポソームによるCL-cyt c複合体形成によるペルオキシダーゼ活性の誘導効果を比較した。驚くべきことに、全ての脂肪酸がステアリン酸で構成されたCLに最も高いペルオキシダーゼ誘導が観察された。それ以外の類縁体はほぼ同程度のペルオキシダーゼ誘導が見られたことから、脂肪酸部および極性頭部にはcyt cによる厳密な構造認識が行われていないことが示唆された。これらのペルオキシダーゼ誘導は、反応液の塩濃度を上昇させることで失われたことから、CL-cyt c複合体形成には、極性頭部の負電荷の効果が大きいことが明らかになった。さらに、リポソーム共沈の形成によりcyt cとの親和性を評価したところ、ペルオキシダーゼ誘導の効果との間に良い相関が見られた。このことから、cyt cのペルオキシダーゼ誘導はCLとの親和性によって決定されていることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Bis-THF motif of acetogenin binds to the third matrix-side loop of ND1 subunit in mitochondrial NADH-ubiquinone oxidoreductase2011
Author(s)
Nakanishi, S., Abe, M., Yamamoto, S., Murai, M., Miyoshi, H.
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Journal Title
Biochim.Biophys.Acta (Bioenergetics)
Volume: 1,807
Pages: 1170-1176
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Synthesis and characterization of photoaffinity probe of acetogenin, a strong inhibitor of mitochondrial couplex I2011
Author(s)
Yamamoto, S., Abe, M., Nakanishi, S., Murai, M., Miyoshi, H.
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Journal Title
Tetrahedron letters
Volume: 52
Pages: 3090-3093
DOI
Peer Reviewed
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