2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780104
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田浦 太志 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (00301341)
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Keywords | ダリクロメン酸 / 生合成 / エゾムラサキツツジ |
Research Abstract |
エゾムラサキツツジ(Rhododendron dauricum)が生産するダウリクロメン酸は天然物としては極めて強力な抗HIV活性を示すことが知られている。本年度は本化合物の生合成に関与する酵素、即ちポリケタイド合成酵素、プレニル転移酵素及び酸化閉環酵素の遺伝子クローニングを目的として実験を行った。先ずポリケタイド合成酵素については、カルコン合成酵素など各種植物の既知酵素に保存された配列をもとに重複プライマーを合成してPCRを行い、次いでRACE法による遺伝子5'及び3'末端部の増幅を行う事で候補遺伝子2種を得た。これら遺伝子を発現ベクターpET24aに組み込み、それぞれ大腸菌を宿主として組み換え酵素を発現し、活性を検討した結果、1種がダウリクロメン酸前駆体と推定されるオルセリン酸の合成能を示すことを確認した。次いで、酸化閉環酵素に関しても同様に、既知酵素の保存配列をもとにした重複プライマーによるPCR及びRACE法を組み合わせて検討することで3種の候補遺伝子を得た。これらを発現ベクターpPICZに組み込んで酵母で組み換え酵素を発現し、活性を測定した結果、2種についてダウリクロメン酸の合成活性を示すことを確認した。以上から、本年度はダウリクロメン酸の生合成に関与するポリケタイド合成酵素および酸化閉環酵素の遺伝子を同定することに成功した。一方、プレニル転移酵素遺伝子のクローニングについては現在検討中であり、平成23年度に完了する予定である。
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