2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物のインドール酢酸生合成経路が有する新しい機能に関する研究
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22780108
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
増口 潔 独立行政法人理化学研究所, 生長制御研究グループ, 特別研究員 (00569725)
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Keywords | 植物ホルモン / オーキシン / インドール酢酸 / フェニル酢酸 / LC-ESI-MS/MS / YUCCA / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
オーキシンは植物の生長・分化に必須なホルモンであり、インドール酢酸(IAA)を主要な活性型オーキシンとして研究が進められている。一方、植物はIAAと化学構造が異なるいくつかのオーキシンを有するが、それらの生理機能は未知のままである。本研究は、植物体内にIAAよりも多く含まれるオーキシン、フェニル酢酸(PAA)の生合成経路、情報伝達経路を明らかにする事でPAAの生理作用を解明するものである。 本年度は、IAAとPAAの化学構造の類似点から、植物はIAAと独立した経路でPAAを生合成/代謝しているのか、それとも同じ経路を用いて生合成/代謝しているのかという疑問点について検討した。まず、PAA及びPAAの代謝物と想定されるPAAアミノ酸結合体のLC-ESI-MS/MSを用いた高感度分析法の確立とエストラジオール誘導型のIAA生合成・代謝関連遺伝子の一過的な過剰発現植物体の作製を行った。続いて、上記の一過的な過剰発現体及びIAA生合成遺伝子の欠損変異体を用いてPAAとPAAアミノ酸結合体内生量の分析を行い、IAA生合成酵素YUCCAがPAA生合成に、IAA-アミノ酸結合体合成酵素GH3がPAA代謝に大きく寄与していることを明らかにした。これらの結果から、IAA生合成/代謝経路は、IAAだけではなく、PAAの生合成/代謝にも寄与しているという新規な知見が得られた。来年度は、様々な変異体などを用いたPAAの生理試験や本年度のPAA内生量分析から考察されたPAA特異的な生合成遺伝子の過剰発現による植物体内でのPAA過剰生産を行い、PAAの生理作用を明らかにするための研究を実施する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 植物におけるフェニル酢酸生合成経路の解析2011
Author(s)
増口潔, 菅原聡子, 田中慧太, 軸丸裕介, 花田篤志, 夏目雅裕, 川出洋, 酒井達也, 神谷勇治, 林謙一郎, 笠原博幸
Organizer
第52回日本植物生理学会
Place of Presentation
東北大学、仙台市
Year and Date
20110320-20110322
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[Presentation] Dissection of Auxin Biosynthesis via Indole-3-acetaldehyde in Plants2010
Author(s)
Mashiguchi Kiyoshi, Hayashi Ken-ichiro, Tanaka Keita, Sugawara Satoko, Jikumaru Yusuke, Hanada Atsushi, Natsume Masahiro, Kawaide Hiroshi, Yunde Zhao, Kamiya Yuji, Kasahara Hiroyuki
Organizer
20th International Conference on Plant Growth Substances (IPGSA 2010)
Place of Presentation
Tarragona, Spain
Year and Date
20100628-20100702
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