2010 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病発症に関わる脂肪組織内免疫環境の食品成分による制御
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22780111
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
平井 静 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 助教 (90432343)
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Keywords | 食品 / 肥満 / 免疫 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
肥満の進行に伴い、マクロファージをはじめとした各種免疫細胞が脂肪組織へと浸潤し、その免疫環境の変化を誘導していることが明らかになってきているが、マクロファージ以外の免疫細胞の動態や脂肪組織内での役割については不明な点が多く残されている。そこで本年度は、脂肪組織に浸潤する免疫細胞の中でも特にマスト細胞に着目し、その動態および機能について検討を行った。 様々な肥満段階にあるマウスの脂肪組織からSVFを単離し、FACSを用いてマスト細胞の検出を行ったところ、肥満の進行に伴う脂肪組織内マスト細胞数の増加が確認された。また脂肪組織をin vitroで培養することで得た培養培地を用いて、未分化マスト細胞のモデルであるマウス骨髄由来マスト細胞(bone marrow derived mast cell : BMMC)の細胞遊走活性を測定したところ、BMMCは肥満初期または痩せマウスの脂肪組織由来培養培地に対して高い遊走活性を示した。そこで脂肪組織内においてマスト細胞の成熟に関わる因子について検討するため、BMMCに各種脂肪酸を添加したところ、飽和脂肪酸の添加によってのみ成熟マスト細胞マーカーの発現の亢進が認められた。さらに、重篤な肥満状態のマウスにおいて観察された脂肪組織の線維化とマスト細胞との関連について検討するため、マウス由来NIH-3T3繊維芽細胞に肥満状態の脂肪組織の培養培地を添加したところ、collagen mRNA発現の亢進が認められ、この作用はマスト細胞顆粒因子であるtryptaseの中和抗体の添加によって抑制された。以上のことより、未分化な状態で脂肪組織に浸潤したマスト細胞は肥満の進行に伴い脂肪組織内で成熟し、その顆粒成分の分泌を介して脂肪組織の繊維化に関わる可能性が示唆された。
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