2010 Fiscal Year Annual Research Report
高脂肪食摂取下で脂肪肝感受性を決定する遺伝子の同定:染色体部分置換マウスを用いて
Project/Area Number |
22780118
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 美里 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (20456586)
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Keywords | 脂肪肝 / 染色体置換マウス / コンソミック / 脂質代謝 / QTL / コンジェニック |
Research Abstract |
高脂肪食誘導性脂肪肝の感受性遺伝子座(Fllsa)の責任遺伝子を同定するために、(1)感受性アレルを保有するA/Jマウスと抵抗性アレルのSM/Jを導入した第12番染色体コンソミックマウスで発現量の異なる候補遺伝子に注目した解析を行った。また、責任遺伝子を位置情報から絞り込むために(2)コンソミックマウスからコンジェニックの作出を行った。 (1)では、まず初めにA/Jとコンソミック間の候補遺伝子の塩基配列の比較を行った結果、A/Jの5'上流領域に約100bpの欠失変異を見出した。また、アミノ酸変異を伴う塩基置換もエキソンの2か所で確認した。このことから、これらの変異のいずれかあるいは両者が候補遺伝子の発現量を制御している可能性が示された。候補遺伝子の遺伝子発現、タンパク質発現分布を確認したところ、肝臓のみならず腎臓においても高い発現量が示されるとともに、A/Jとコンソミック間での発現量に差が見られたことから、この遺伝子は組織特異的な発現量の低下を示す遺伝子ではないことが示された。候補遺伝子の肝臓脂質蓄積に及ぼす影響を調査するために、肝細胞への候補遺伝子の過剰発現の系の確立にも着手した。 (2)コンジェニックの作出 第12番染色体を1本全てSM/Jに置換したコンソミックマウスから、戻し交配を行って染色体の一部分を置換したコンジェニックマウスの作出にも着手し、1つの系統の作出に成功した。来年度はこのコンジェニック系統に高脂肪食を負荷し、肝臓脂質蓄積量の変化について検討する。
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