2011 Fiscal Year Annual Research Report
高脂肪食摂取下で脂肪肝感受性を決定する遺伝子の同定:染色体置換マウスを用いて
Project/Area Number |
22780118
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 美里 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (20456586)
|
Keywords | 脂肪肝 / コンソミック / トリグリセリド / 遺伝解析 / QTL / コンジェニック |
Research Abstract |
高脂肪食誘導性脂肪肝の感受性遺伝子座Fllsaの候補遺伝子について、その責任遺伝子としての可能性の有無を明らかにするために、平成23年度は(1)マウスの個体レベルでの検討と(2)細胞レベルでの検討を行った。 (1)染色体部分置換(コンジェニック)マウスの脂肪肝感受性の表現型解析による責任遺伝子の位置的絞り込み 第12番染色体の導入領域の異なる2つのコンジェニックマウスを既存の染色体置換マウス(コンソミック)マウスからA/Jマウスへの戻し交配によって作出した。この新たに作出したコンジェニック系統を10週間高脂肪食で飼育し、肝臓脂質の蓄積についてA/Jマウスと比較検討したところ、2つのコンジェニツクマウスの脂肪肝蓄積への影響は小さかったことから、これらの導入領域以外の染色体領域にFllsaの主たる責任遺伝子が存在する可能性が示された。 (2)肝細胞株におけるFllsaの候補遺伝子の脂質代謝に及ぼす影響の検討 昨年度までに見出された候補遺伝子のゲノム塩基配列の決定によって、2系統間でアミノ酸多型の存在を見出した。この多型を有する2系統のcDNAをクローニングし、哺乳動物細胞発現ベクターに組み込み、肝細胞株への遺伝子導入し、候補遺伝子を一過性に過剰発現させることに成功した。そして、候補遺伝子の過剰発現による肝細胞内トリグリセリド蓄積量への影響を評価するために、脂肪酸を添加による評価系を確立した。しかし、一過性過剰発現の系においては、安定した細胞内トリグリセリド含量の評価が困難であったため、来年度は安定発現株の作出を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学院生2名がin vivoとin vitroの実験にそれぞれ取り組み、予定した計画通りに順調に進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度までで得られたコンジェニックマウスでは、脂肪肝形質への影響が弱いため、今後は、脂肪肝形質への影響が期待される染色体領域を保有するコンジェニックマウスを新たに作出し、責任遺伝子の存在領域を限局する。 候補遺伝子の細胞での過剰発現系において、脂質蓄積への影響を安定して評価するための安定発現株の作出を行い、候補遺伝子の脂質代謝への影響を確実なものとしていく。
|