2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 成暢 京都大学, 農学研究科, 助教 (70467413)
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Keywords | 脂肪 / 報酬系 / エンドルフィン / ドーパミン / 消化管 |
Research Abstract |
脂肪を多く含む食品は我々を惹き付けてやまない。これは脂肪の美味しさと摂取した後に得られる高度な満足感によるものだと考えられるが、この満足感の発生メカニズムは明らかではない。βエンドルフィンは内因性オピオイドでありモルヒネのように鎮痛作用を持ち、快感を惹起することから脳内麻薬とも呼ばれている。脂肪をラットに自由摂取させると脳脊髄液中にβエンドルフィンが放出されることは既に当研究室において明らかとなっており、脂肪の美味しさ、満足感にβエンドルフィンが関与している可能性が考えられる。しかしながら、その放出機構は全く明らかとなっていない。そこで、脂肪の持つどのような要素(味、カロリー、粘度など)がβエンドルフィンの分泌を促進するのかを検討した。 βエンドルフィンは脳視床下部の弓状核と呼ばれる部位に存在するニューロンで産生される。そこで、このニューロンの活性化を神経活動の指標であるc-fosを指標として検討した。脂肪を摂取後に脳を摘出し、スライスを作製した。c-fosおよびβエンドルフィンに対する抗体を用いて免疫染色を行い評価した。.その結果、脂肪摂取1時間後にはβエンドルフィンを発現する細胞で顕著なc-fos発現の増加が認められた。しかしながら、サッカリンやスクロース溶液を摂取してもc-fosの増加がみられなかった。以上の結果より脂肪の自発的な摂取がβエンドルフィンニューロンを活性化すること、また、このニューロンは糖質もしくは甘味溶液を摂取しても変化がみられないことが明らかとなった。脂肪にはβエンドルフィンの放出を促進させる作用があり、糖質とは異なる報酬性を有していることが示唆された。
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