2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780125
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
細田 香織 杏林大学, 保健学部, 助教 (60433728)
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Keywords | 大豆イソフラボン / 薬物代謝酵素 / UGT / SULT |
Research Abstract |
大豆イソフラボンであるダイゼインとゲニステインは、主に肝臓においてUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)及び硫酸転移酵素(SULT)により代謝され、大部分はグルクロン酸抱合体、硫酸抱合体となる。そのため、これら抱合体の種類と生成量は、代謝経路に関与するUGTおよびSULTの酵素活性を反映すると考えられる。本研究の目的は、大豆イソフラポンの代謝を利用し、UGT及びSULTの活性評価系を確立することである。平成23年度は、以下の研究を実施した。 (1)ゲニステインのグルクロン酸抱合反応に関与する主要なUGT分子種の同定:昨年度の研究結果より、ゲニステイン代謝に主要に関与すると示唆されたUGT酵素分子種4種(1A1、LA9、1A8、LA10)について、7位あるいは4'位グルクロン酸抱合体(G-7-G、G-4'-G)への代謝活性を比較した。4種の代謝活性はいずれもG-7-G>G-4'-Gであり、いずれもUGT1A9の活性が最も高かった。したがって、UGT1A9はG-7-G及びG-4'-Gへの代謝を担う主要酵素分子種であると判明した。 (2)ヒト血漿中におけるイソフラボン代謝産物の平均的なプロファイルの解明:大豆イソフラボン(ダイゼイン、ゲニステイン)を豊富に含むきな粉10gを摂取した被験者10名(男女各5名)について、血漿中のイソフラボン代謝産物をHPLCにより定量分析した。その結果、血漿中の主要代謝産物は、ダイゼイン、ゲニステインのグルクロン酸および硫酸の二重抱合体D-7G-4'S、G-7G-4'S)と、ゲニステインのグルクロン酸二重抱合体(G-4',7-diG)の3種であると判明した。ヒト血漿中において、イソフラボンの二重抱合体(D-7G-4'S、G-7G-4'S、G-4',7-diG)が主要代謝産物であることを初めて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の実施予定のヒト血漿中におけるイソフラボン代謝産物の平均的なプロファイルの解明を前倒しし、平成23年度に実施した。平成22~23年度に実施予定のイソフラボン代謝産物生成に関与する酵素分子種の同定は、引き続き平成24年度も実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の実施予定のヒト血漿中におけるイソフラボン代謝産物の平均的なプロファイルの解明を前倒しし、平成23年度に実施した。被験者10名(男女各5名)で実施したところ、代謝産物のプロファイルには被験者間で差が認められた。今後、差異に影響する因子を探るため、同年代の男性あるいは女性のように、被験者の条件を限定したデータ集めも実施したい。また、平成22~23年度に実施予定のイソフラボン代謝産物生成に関与する酵素分子種の同定は、引き続き平成24年度も実施する。
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