2010 Fiscal Year Annual Research Report
柿タンニンの胆汁酸吸着物質としての性質および生体内エネルギー代謝への影響
Project/Area Number |
22780134
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
松本 健司 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (60288701)
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Keywords | 生理活性 / タンニン / エネルギー代謝 / 柿 / 褐色脂肪 |
Research Abstract |
4種類の柿(富有柿(完全甘)、平核無柿(不完全渋)、四溝柿(完全渋)、蜂屋柿(完全渋))の未成熟果実から柿タンニンを抽出し、胆汁酸吸着能について調べた。乾燥果実からの各柿タンニン抽出量は蜂屋柿>四溝柿=平核無柿>富有柿であり、胆汁酸吸着能は蜂屋柿=四溝柿>平核無柿>富有柿であった。各未成熟果実乾燥粉末の胆汁酸吸着活性が蜂屋柿>四溝柿>平核無柿>富有柿であることから、柿未成熟果実の胆汁酸吸着能の強さは柿タンニンの量と種類に影響されていると考えられた。続いて活性の最も高かった蜂屋柿由来の柿タンニンを用いて動物実験を行った。2型糖尿病モデルマウスNSY/Hos系統とKK/Ta系統に柿タンニンを1%混ぜた高脂肪飼料を8週間摂取させたところ、KK/Ta系統はヘモグロビンAlcの著しい増加など、特徴的な糖尿病病変を示したが、柿タンニンだけでなくポジティブコントロールである医薬品のコレスチラミンも糞中への胆汁酸排泄促進効果を示さず、血中コレステロール等への影響も全く見られなかった。このことから、胆汁酸吸着剤の機能性評価にはKK/Ta系統は不適であると考えられる。一方、NSY/Hos系統では柿タンニンの摂取により糞中への胆汁酸排泄が促進され、血漿脂質濃度および血漿インスリン濃度が非摂取群に比べ有意に低く、さらに脂肪肝の予防効果を示した。また、柿タンニン摂取により、肝臓ではコレステロール代謝系の遺伝子が増加し、褐色脂肪組織では脂肪酸燃焼に関係する遺伝子およびタンパク質の発現が増加していた。このことから、褐色脂肪組織における脂肪酸の燃焼促進が柿タンニンの脂質代謝改善効果に寄与していることが示唆された。
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