2011 Fiscal Year Annual Research Report
柿タンニンの胆汁酸吸着物質としての性質および生体内エネルギー代謝への影響
Project/Area Number |
22780134
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
松本 健司 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (60288701)
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Keywords | 柿タンニン / 胆汁酸吸着 / 2型糖尿病モデルマウス / 脂質代謝 |
Research Abstract |
本年度は柿タンニンの胆汁酸吸着剤としての性質を明らかにするために、医薬品である胆汁酸吸着剤「コレスチラミン」と柿タンニンの性質を比較した。In vitro胆汁酸吸着活性および10日間摂取による胆汁酸排泄促進効果の検討結果から、柿タンニンはコレスチラミンの7割程度の胆汁酸吸着活性を有することが明らかになった。続いて、高脂肪食にコレスチラミン1%、柿タンニン1.5%を添加した飼料を2型糖尿病モデルマウスに摂取させることにより、脂質代謝および糖代謝への影響を検討した。試験開始後10週目の糞中胆汁酸排泄効果はコレスチラミンの方が有意に強かったため、長期間の投与では柿タンニンは消化管内で胃酸や腸内細菌のタンナーゼによる分解を受け、その結果胆汁酸吸着活性がコレスチラミンより有意に低くなったものと考えられる。一方、コレスチラミンより胆汁酸排泄促進効果が弱かったにもかかわらず、血中コレステロール上昇抑制効果および血中遊離脂肪酸上昇抑制効果についてはコレスチラミンより柿タンニンの方が強いという結果が得られた。これは、柿タンニンが分解を受けた際に生じるカテキンが影響しているのではないかと思われる。また、血糖値、尿糖値、HbA1cを検討した結果、2型糖尿病予防効果に関してはコレスチラミンの方が柿タンニンよりも強いという結果が得られた。胆汁酸排泄の促進はGLP-1を介した経路で2型糖尿病を予防することが明らかになっており、胆汁酸排泄促進効果の差が2型糖尿病予防効果の差として現れたと考えられる。 以上の結果から、柿タンニンは消化管内で分解を受けるものの、胆汁酸吸着剤としての機能を発揮し、特に脂質代謝を改善する性質を有することが明らかになった。
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