2011 Fiscal Year Annual Research Report
土石流における先端部形成が流動の間欠性に与える影響
Project/Area Number |
22780140
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀田 紀文 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00323478)
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Keywords | 土石流 / 土砂災害 / 防災 / 混合粒径 |
Research Abstract |
平成23年度も,前年度に引き続き可変勾配水路を用いた水路実験を実施した.前年度の結果から,混合粒径土石流の先端部の形成過程においては,後続流における分級(逆グレイディング現象)が重要な役割を果たすことが示唆されたため,本年度は大粒径と小粒径の混合比を変化させることで,逆グレイディング現象による土石流の抵抗則の変化についての検討を行った.また,流下に伴う土石流先端部の発達の影響についても,実験水路を延長することで検討を行った.高速ビデオカメラによる画像解析結果から濃度勾配が顕著な事例がみられたため,比較のために行う計算は,土石流だけではなく掃流状集合流動も再現出来るようプログラムの改良を行った. 以上から明らかになった結果は次の通りである.計算においては,混合粒径土石流は大・小粒径の混合比の違い応じて流動深,流速に応じて違いがみられたのに対して,実験では先端部を除いてほとんど違いが見られず,小粒径(均一粒径)の実験結果に概ね一致した.水路を延長した実験(:水路末端での測定結果)ではその傾向がより顕著であり,混合粒径土石流の流動特性は,流れの発達に伴い構成則に小粒径を適用した結果と一致することが示された.流下に伴う流速分布と流れ内部での粒子の配置の変化に着目すると,流下初期では分級が生じておらず,流速分布の勾配は流れ中層~上層で顕著(:移動床上の土石流の流速分布に類似)だったのに対して,流れが発達し分級が生じると,流速分布の勾配は小粒径が集中する底面近傍でもっとも大きな勾配をもつように変化した.以上の結果は,土石流先端部への巨礫集中は後続流における分級に伴って生じること,特に流れの発達過程では,既存の土石流流下モデルが先端部の到達時間を過大に(:危険側で)評価していることを意味している.
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