2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンジカの高密度化による森林生態系の改変がツキノワグマに与える影響
Project/Area Number |
22780141
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小池 伸介 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 助教 (40514865)
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Keywords | 大型哺乳類 / ツキノワグマ / 生態系改変 / ニホンジカ |
Research Abstract |
本研究はこれまでシカの分布・生息密度が制限されてきた山岳・森林地帯を主要な生息地とするクマの生態、特に食性、行動等にシカの増加が与える影響の調査・解析を行う。本年度は神奈川県丹沢山地を調査地として調査を実施した。具体的な実施内容は、(1)シカの増加前後の時期のクマの食性を比較し、食性の変化を解明する。(2)過去(シカの増加前)からの捕獲クマ個体の体毛を収集・安定同位体解析し、過去の食性の変化を時系列的に復元を行った。具体的には 調査1:シカの増加前後の時期におけるクマの食性比較 食性調査を行い、既存研究事例(シカ増加前後の時期間)とのクマの食性を比較を行った。その結果、1990年代前半の調査結果と比較すると、近年のクマの食性に占めるシカの割合は増加していることが明らかになった。 調査2:過去のクマ食性履歴の復元による時系列的なシカの影響の評価 過去の狩猟個体などから体毛を採取するとともに、近年の個体のものはヘアートラップにより体毛を回収し炭素・窒素の安定同位体比解析を実施した。その結果、近年のクマの食性は、利用する食物種の幅が広がっていることが示唆された。 これらの結果から、クマの食性はシカの増加により何らかの影響を受けていることが示唆されたことから、来年度以降は他調査地や行動などへの影響についても調査を行う予定である。
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