2012 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンジカの高密度化による森林生態系の改変がツキノワグマに与える影響
Project/Area Number |
22780141
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小池 伸介 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (40514865)
|
Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
|
Keywords | 大型哺乳類 / ツキノワグマ / ニホンジカ / 生態系改変 |
Research Abstract |
近年のニホンジカ(以下、シカ)の爆発的増加が生息地の改変による食物の増加と暖冬によってもたらされたと仮定すると、シカが生態系に及ぼす影響は不可逆的である。本課題は、この生態系の一部が急速に変化する現象「生態系レジームシフト(構造変化)」の実体に迫ることを目的として、シカの高密度化が森林生態系を構成する生物間の相互作用ネットワークにどのような影響を及ぼしているのかを、シカの分布・生息密度が制限されてきた山岳・森林地帯を主要な生息地とするクマの生態、特に食性、行動等を対象に調査・解析を行った。具体的な結果は、 結果1:シカの増加前後の期間でのクマの食性比較:神奈川県丹沢山地で食性調査(糞分析)を行い、既存研究事例(シカ増加前の期間)と比較することで、食性に占めるシカの割合の違いを明らかにした。その結果、夏から秋にかけて糞から出現するシカの割合が増加した。また、秋は利用する果実類の種類が増えたものの、つる性の果実の利用は減った。これは、シカの増加によりツル性植物や低木性の液果類を結実させる木本の減少の可能性が示唆された。また、過去40年間のクマ食性履歴を体毛の炭素および窒素安定同位体比分析を行って比較した。計19個体(1973年-2009年)から試料を得て、測定結果を比較したところ、夏では窒素安定同位体比の上昇が認められた。これらの結果より、丹沢山地のツキノワグマは、シカの増加の直接的・間接的影響を受け、利用する食物を変化させきている可能性が示唆された。 調査2:クマの行動に与えるシカの影響・誘因性調査:東京都奥多摩でGPSによるクマの追跡調査から、クマの集中利用域を解明した。計6頭を追跡し、集中利用域を踏査したところ、2頭の集中利用域ではシカの残滓が発見された。しかしながら、ほかの個体の集中利用域ではシカを利用した痕跡は発見できなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|