2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンジカによる餌選択メカニズムの解明と剥皮被害発生予測モデルの構築
Project/Area Number |
22780142
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安藤 正規 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (80526880)
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Keywords | ニホンジカ / 剥皮 / 被害予測 / 餌選択 / 餌環境 / 林分構造 |
Research Abstract |
ニホンジカ(以下シカ)による樹木への剥皮害は、天然林・人工林を問わず大きな問題となっており、効率的な防除のために剥皮害の発生予察が求められている。これまでにも、造林地の環境要因などから剥皮害発生予測モデルを構築した研究例が存在するが、過去の例ではシカが樹皮を餌として選択する際に関与していると考えられる「シカの餌環境」が要因として考慮されていない。本研究では、造林地の環境要因の他、シカの餌環境の指標を剥皮害発生予測モデルに加えることにより、より当てはまりのよいモデルを構築することを目指した。 今年度は奈良県大台ケ原において、シカの剥皮被害に関する定量的な調査を実施するための固定調査区を12カ所設置し毎木調査と林床植生調査を実施した。また、5月、7月、9月及び11月に固定調査区内の立木に発生した剥皮の量を計測した。さらに、シカの食性を明らかにするため、前述の調査毎にシカの糞を採取した。現地調査のデータを集計し、剥皮量の季節的変化と樹種選択性について解析した。また、本調査地の過去の毎木調査データと現在のデータを比較し、シカの剥皮における選択性が森林の変遷に与える影響について検討した。 今年度の調査の結果、次年度以降継続する剥皮量調査および糞分析のデータを用いたモデル構築のためのデータを配備することができた。また、大台ケ原ではシカの剥皮被害を受けやすいトウヒ・ウラジロモミが約30年前と比べて大幅に減少し、かつては針葉樹林として知られていた東大台地域が、ブナの優先する疎林へと変化してきた事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22年度の研究成果を論文にする作業が遅れている。また、大台ケ原で採取した糞の分析も遅れており、平成23年度に実施する予定であった大台ケ原における剥皮発生予測モデルの構築が平成24年度へ持ち越されている。論文作成作業と糞サンプルの分析を急ぎ完了させる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点でデータ・サンプルの処理の遅れが問題であるが、研究計画の変更を必要とする状況にはない。本研究に関しては作業の遅れを取り戻すべく進めていく。
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Research Products
(1 results)