2010 Fiscal Year Annual Research Report
微弱発光計測技術を応用した遅延発光にもとづく樹木の活力診断手法の開発
Project/Area Number |
22780143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今西 純一 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (80378851)
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Keywords | 緑化工学 / 造園学 / 林学 / 遅延蛍光 / 光合成 |
Research Abstract |
植栽樹木の生育不良の原因としてもっとも多い、渇水ストレスを負荷する試験を、生育良好な樹木の葉を対象に行った。2010年10月17日~24日に、京都大学北部構内において健全な生育状態を示すヤマザクラ(Cerasus jamasakura var. jamasakura)の葉を採取し、直ちに次のプロトコールに従って測定を行った。まず、葉をプレッシャーチャンバーに入れ、高圧窒素ガスにより-1.0MPaまで脱水した。つぎに、葉を微弱発光測定装置に入れ、600秒間の暗処理を施し、10秒間励起光を照射した後、暗黒条件下で600秒間微弱発光を測定した。その後、クロロフィル蛍光(fv/fm)、蒸散速度と気孔コンダクタンス、葉緑素計値(SPAD)、分光反射率の測定を順次行った。同様に、プレッシャーチャンバーで-2.0、-3.0、-4.0MPaまで脱水して、上記のプロトコールに従い測定を繰り返した。サンプル数は5であった。解析の結果、渇水ストレスの負荷が小さい(木部圧ポテンシャル-1~-2 MPa程度の)場合、約40~120秒後に発光の増加が見られる場合があった。また、同一サンプルの脱水に伴う変化を見ると、渇水ストレスの負荷が小さい状態(木部圧ポテンシャル-1~-2 MPa程度)では、渇水ストレスの負荷が大きい(木部圧ポテンシャル-3~-4 MPa程度)状態に比べて、約150~400秒後の発光が強かった。約150~400秒後の発光強度は、渇水ストレスの指標となる可能性があるが、発光強度をそのまま指標として利用する方法ではサンプル間の値のばらつきが大きいため、指標化に工夫が必要であることがわかった。
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