2012 Fiscal Year Annual Research Report
微弱発光計測技術を応用した遅延発光にもとづく樹木の活力診断手法の開発
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22780143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今西 純一 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (80378851)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 緑化工学 / 造園学 / 林学 / 遅延蛍光 / 光合成 / 渇水ストレス |
Research Abstract |
現在、樹木の活力度は外観により経験的に判定されることが多く、評価の客観性に問題が指摘される場合がある。遅延発光は、光合成の異なるプロセスからの逆反応の結果、光化学系IIより微弱な発光が生じる現象で、直接的に光合成に関わる情報が得られる利点をもつ。そこで、本研究は、最新の微弱発光計測技術を応用して遅延発光を測定し、光合成のプロセスと関連づけた樹木の活力診断が可能であるかを検討し、実用的な活力診断手法を開発することを目的とした。本年度は、5樹種(クスノキ、ソメイヨシノ、ヤブツバキ、ヤマザクラ、ヤマボウシ)を対象とした葉の脱水による渇水ストレス負荷試験(実験室における個葉レベルの試験)と、ヤマザクラを対象とした鉢植え苗を用いた渇水ストレス負荷試験(実験圃場における個体レベルの試験)を実施した。これらのデータの解析結果から、遅延発光には、渇水ストレスによって発光量が増加する時間領域と、発光量が減少する時間領域があることがわかった。また、渇水ストレスによって発光量が増加する時間領域のうち比較的早い時間領域の遅延発光量は、渇水ストレスの状態を表す木部圧ポテンシャル(水ポテンシャル)との相関が強く、従来植物のストレス指標として有効であるとされているクロロフィル蛍光のFv/Fm値よりも相関係数の絶対値が大きく、樹木の活力診断の指標として有効であることが明らかとなった。一方で、渇水ストレスによって発光量が減少する時間領域の遅延発光量は、個体や樹種間の差が大きく、樹木の活力診断の指標として直接利用することは難しかった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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