2010 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域定住政策の評価のために~集落機能評価手法の構築~
Project/Area Number |
22780148
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松本 美香 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 講師 (30437701)
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Keywords | 中山間地域 / 定住化 / 集落機能 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中山間地域における集落の機能不全に因る消滅及び集落群の連鎖消滅を回避するため、集落対策の議論・対策の土台となる、集落機能レベルを集落間連携の実態も交えて客観的に把握できる手法の開発に取り組むことである。 平成22年度における取り組みの目的は、評価指標の抽出のための基礎調査にあった。具体的には、モデル集落(高知県大豊町怒田地区)での過去及び現在の集落内行事や各種の「役」、世帯間・集落間連携の状況などに関する調査及び調査結果の機能的側面での整理を中心に行った。その他として、モデル集落を取り巻く環境条件の調査と、高知県内の地域振興政策の取り組みの収集についても実施した。また、繰り越し事業として、集落機能の評価の高い宮崎県諸塚村の集落調査にも取り組んだ。 取り組みの結果、モデル集落において、集落という仕組みの存在が、様々な危機に対する共生による最小負担での危機回避手段であり、結果として集落に必要な機能が自然にまたは行政指導等の外部要因により発生しては消えながら、構成世帯の生活環境の支援の基盤となっていることが見えてきた。また、このように重要な集落という仕組みに対して、先人達が様々な集落内及び集落外との連携の仕掛けを行事の形で織り込んでいたこと、そして、自然に組み込まれていたがために、仕掛けの重要性が認識されず容易く消され続けている状況、その度に集落活力の低下感が住民の意欲を引き下げている状況が読み取れた。また、同様の仕組みについては、形は違うものの宮崎県の集落調査でも見ることが出来た。今回の調査結果は、集落機能の評価において個別の支援機能以上に集落自体を維持する機能(仕掛け)に重点を置く必要があることを示唆している。 なお、今回浮かび上がってきた「仕掛け」については、集落機能評価の分析だけではなく中山間地域問題の根本解決の鍵を示唆するものと感じており、今後展朋させたい。
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