2011 Fiscal Year Annual Research Report
トカラ列島における森林性鳥類の生物地理:渡瀬線を挟んだ島々での繁殖分布と集団構造
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22780153
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
関 伸一 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (50343801)
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Keywords | トカラ列島 / 鳥類 / インベントリ / 繁殖種 / 無人島 |
Research Abstract |
トカラ列島の百人島における繁殖期・越冬期の生息密度調査を継続し、諏訪瀬島・平島・中之島などの鳥類相について直接観察・捕獲調査・赤外線センサー式自動撮影装置による記録・タイマー式デジタル録音装置による記針を行うとともに、トカラ列島全島についての過去の記録資料を収集した。また、鳥類の調査がほとんど行われていなかった無人島、臥蛇島・横当島・上ノ根島の3島での調査を夏期に実施し、直接観察による鳥類調査を実施するとともに、赤外線センサー式自動撮影装置およびタイマー式デジタル録音装置の設置を行った。無人島における直接観察では、これまで記録のなかった島でアカショウビンなどの繁殖を示唆する記録を得ることができた。設置した機器は1年間以上の稼働が可能な設計となっており、次年度のほぼ同時期に回収して分析することで、遠隔で鳥類相の季節変化を明らかにできる予定である。また、トカラ列島10島の鳥類相について、これまでのデータをとりまとめ、森林総合研究所研究報告に公表した。公表したデータによって鳥類の種ごとに各島の月ごとの記録頻度を知ることができ、記録状況からそれぞれの種が繁殖している可能性があるのか、通過しているだけなのか、あるいは越冬しているのかを推定することができる。例えば、トカラ列島に生息する希少鳥類では、カラスバトが10島すべてで季節を通して記録がある一方で、アカヒゲは8島、アカコッコは7島、イイジマムシクイは3島に繁殖期の記録が限定され、トカラ列島内でも鳥類相には島問の相違が明確なことを明らかにした。このような分布の不均一性についての情報は希少鳥類の保全を図る上で重要な基礎情報となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、これまでの観察記録・文献資料・有人島における補足調査成果をとりまとめて公表することができ、無人島の現地調査と遠隔記録装置の設置も実施することができており、おおむね順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね計画通りに進行しており、最終年度には遠隔記録装置の回収とそのデータの解析、先に公表したトカラ列島の鳥類相についてのデータの不十分な地域・季節を補完する成果論文の公表を進める予定である。
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