2012 Fiscal Year Annual Research Report
トカラ列島における森林性鳥類の生物地理:渡瀬線を挟んだ島々での繁殖分布と集団構造
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22780153
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
関 伸一 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (50343801)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | トカラ列島 / 鳥類 / インベントリ / 繁殖種 / 無人島 |
Research Abstract |
トカラ列島における鳥類記録を整理し、種および島ごとに季節的な記録頻度の変化を明らかにした。トカラ列島における全記録種数は317種で、島ごとの記録種数は最も多い中之島の257種から、平島の231種、悪石島の172種、宝島の162種、口之島の127種、諏訪之瀬島の122種、小宝島の89種、臥蛇島の52種、横当島の51種、上ノ根島の32種まで大きく異なっていた。面積最大の中之島で記録種数が最大で、面積最小の上ノ根島で最も記録種数が少ないという事例は認められたが、面積や標高は必ずしも記録種数と相関はしていなかった。また、営巣記録と繁殖期の記録頻度から繁殖種・繁殖の可能性が高い種を抽出すると、トカラ列島全体で31種であった。島ごとの鳥類記録を収集する過程においては、これまでは鳥類調査がほとんど行われていなかった無人島(臥蛇島・横当島・上ノ根島)で短期の上陸調査を実施するとともに、二種の自動記録装置(赤外線センサー式自動撮影カメラとタイマー式デジタル録音機)を設置することにより長期記録を試みた。2011年夏に設置した装置を2012年夏に回収して解析した結果、繁殖期の連続的なさえずりの記録から繁殖の可能性が高い種を抽出することが可能となり、いずれの島でもアカヒゲとアカコッコの繁殖の可能性が示唆された。上ノ根島・横当島は陸生生物における生物地理区の境界の一つである渡瀬線の南に位置し、地理的には渡瀬線の北に位置するトカラ列島中部の大きな島よりもむしろ奄美大島に近いが、地史的にはトカラ列島の一部を成す比較的新しい火山島である。アカヒゲとアカコッコが夏鳥として繁殖している可能性が高いと推測されたことなどにより、上ノ根島・横当島の鳥類群集はトカラ列島の影響を強く受けて形成されていると考えられた。この研究の成果は生物地理研究と希少鳥類の保全のための利用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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