2011 Fiscal Year Annual Research Report
樹木実生の防御機能による初期定着サイト決定機構の解明
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22780154
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
市原 優 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (10353583)
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Keywords | 天然更新 / ブナ / 立枯病 / 防御機能 / 光環境 |
Research Abstract |
森林樹木の天然更新は初期段階において菌害による阻害を大きく受けている。森林の維持管理のためには、天然更新阻害要因としての菌害発生メカニズムと、菌害に対する樹木実生の防御機能を明らかにする必要がある。冷温帯を代表するブナの天然更新においても、実生のほとんどは菌害によって枯死するが、強光環境では組織学的および化学的防御機能が発達し生残することが明らかになっており、防御機能と環境要因の対応関係を詳細に調査する必要がある。本研究では、ブナ実生の立枯病発生メカニズムとその中における実生の防御機能の役割に着目し、実生定着の成否を分ける環境要因を防御機能の発達程度によって評価することを目的とし、天然更新施業の高度化に寄与すること目標としている。本年度は、光環境とブナの防御機能、および菌害発生率の対応関係を詳細に明らかにするために、実験室内の異なる光環境下で栽培したブナ実生において病原菌を接種し、病原菌の侵入に対する動的な防御機能の発達程度を評価するための実生のサンプリングを行った。接種した実生は光環境の良い場合に生残率が高く、また接種後カテキンとエピカテキンの濃度が高くなったことから、防御機能が動的に発達する可能性が明らかになった。本課題等を基に、日本生態学会第59回大会(平成24年3月、大津市、日本生態学会会員対象)において自由集会「化学物質で植物と微生物の相互作用を探る-野外生態研究における事例-」を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にフィールド調査とサンプリングを実施し、2年目の本年度には接種試験によるサンプル採取を行うことができ、本研究のサンプル採取はほぼ達成できており、次年度はサンプルとデータの解析が主な作業になるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ブナ天然林や室内接種試験で採取した当年生実生のサンプルについて防御機能の解析を進め、抗菌物質と防御組織の2つの指標がもつブナ実生の定着サイト決定因子としての役割を考察する。
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Research Products
(3 results)