2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 拓也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50553723)
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Keywords | リグニン / 細胞壁 / 木材 / スピロジエノン / β-1型構造 / NMR |
Research Abstract |
リグニンはフェニルプロパン構造を基本骨格とした高分子であるが、その骨格単位の多くは芳香核骨格を有する構造(β-O-4,β-5,β-β,5-5型構造など)として知られており、これに関連し多くの研究が進められている。一方で、この他に、骨格単位の一部は芳香核を持たずにジエノン型やエノン型構造として存在することが、リグニンの生合成過程から想定されてきた。本研究では、その一つとして提案されているβ-1結合型のスピロジェノン構造の詳しい解析を行い同定すること、および、その他のジエノン型やエノン型構造を探索することを目的としている。 本年度は、過去に分析を行った広葉樹16種の中で最も高いシリンギル核/グアイアシル核比(ニトロベンゼン酸化のS/V比を指標とする)を示したアビセニア樹種を用いて、リグニン(MWL)を単離し、アセチル化物として各種剛R測定を行い解析した。HSQC測定の結果、同樹種では、スピロジエノン構造と両側鎖(α,β,γ位およびα',β',γ'位)由来と考えられる全ての相関シグナルが強く現れた。さらに、HSQC-TOCSY測定の結果、α-β間,α-γ間,β-γ間およびα'-β'間,β'-γ'間の相関シグナルが明瞭に確認されたことから、HSQCスペクトル上の上記シグナルをスピロジエノン構造に仮帰属した。この帰属の信頼性を調べることを目的に、現在、スピロジエノン構造を含むモデル化合物の合成を進めている。
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