2010 Fiscal Year Annual Research Report
紙表面上で界面重合反応を行う手法を活用した機能紙調製法の確立
Project/Area Number |
22780163
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
市浦 英明 高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (30448394)
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Keywords | 機能紙 / 界面重合反応 / 徐放性 |
Research Abstract |
本研究では、紙に機能を付与するために、紙と機能材料の複合化方法、特に、界面重合反応を応用した手法について研究を行った。本年度では、紙表面上に界面を形成させ、その領域で重合を行い、揮発性化合物を内包したナイロン膜およびポリウレア膜を生成することにより、紙と揮発性化合物の複合化を試みた。また徐放性の制御を目的に、ナイロン膜およびポリウレア膜を調製したシートの揮発性化合物の定着量および徐放性を評価した。 ジエチルトルアミド(DEET)を分散させた2.5-25%エチレンジアミン溶液にろ紙を含浸した後、1%二塩化テレフタロイルorヘキサメチレンジイソシアネート/シクロヘキサン溶液に10分間含浸した。その後風乾して調製シートを作成した。調製シートは電子顕微鏡(SEM)および赤外分光光度計に(FT-IR)よりキャラクタリゼーションを行った。ガスクロマトグラフ(GC)を用いて、DEETの定着量および徐放性を評価した。 SEM観察の結果、紙表面上に生成した膜の存在を確認した。また調製シートのFT-IR測定の結果、ポリアミド由来およびポリウレア由来のピークおよびDEET由来のピークが観測されたため、紙表面上にDEET含有ポリアミドおよびポリウレア膜が生成したことが示唆させた。GCによる定着量評価の結果、ポリウレア調製シートに比べて、ポリアミド調製シートの定着量が多いことがわかった。また、ろ紙にDEETを担持させたシートと調製シートの72時間後の残存率を比べた結果、調製シートの残存率が高い値を示したことから、調製シートへの徐放性の付与が確認された。またエチレンジアミン濃度が増加するほど、定着量および徐放性も向上する傾向が得られた。このことより、本手法における揮発性化合物の定着量および徐放性は膜厚の増減に影響を受けており、膜厚の制御により徐放性を制御することが可能であった。
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