2011 Fiscal Year Annual Research Report
固相抽出法を駆使した木材保存剤の高精度かつ効率的な定量分析法の確立
Project/Area Number |
22780165
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
宮内 輝久 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部・林産試験場・性能部, 研究主任 (20446339)
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Keywords | 木材保存 / 分析化学 / 固相抽出 / 農林水産物 |
Research Abstract |
木材保存剤の有効成分として用いられている有機系抗菌剤の定量分析は、UV検出器を用いた液体クロマトグラフィー(LC-UV)により行われる場合が多い。しかし、木材成分などが有効成分の分析を妨害し、正確に定量できない場合が少なくない。著者は、木材保存剤に用いられている有機系抗菌剤のうち、トリアゾール化合物であるシプロコナゾール(CYP)およびテブコナゾール(TEB)、第4級アンモニウム化合物である塩化ベンザルコニウム(BKC)について、固相抽出法(SPE)によるLC-UVの分析の妨害となる木材成分の除去方法を確立している。 H22年度では、BKCおよびCYP、TEBについて確立したSPEの適用樹種を拡大するための検討を行った。本年度は、対象とする有機系抗菌剤を拡大するため、木材保存剤の有効成分として用いられている他のトリアゾール化合物である、ヘキサコナゾール(HEX)およびプロピコナゾール(PRO)について検討した。その結果、木材成分による妨害はHEXよりもPROの方が顕著であること、いずれの場合もSPEにより除去可能であることを確認した。また、SPEに用いる陽イオン交換体のベースポリマーが異なると、4つのうち特定のトリアゾールの回収率が著しく低くなるという興味深い傾向を見出した。 以上の結果、第4級アンモニウム化合物であるBKCおよびトリアゾール化合物であるCYP、TEB、HEX、PROについて固相抽出法を用いた高精度かつ効率的な分析方法を確立することができた。確立した手法は、保存処理木材の品質管理精度の向上に寄与できるものと考えられる。 また、木材保存剤の性能を評価するうえで重要な溶脱試験において、SPEとLC-UVを用いた定量分析が適用できる可能性を確認した。次年度以降さらに検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに研究を実施することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
文献調査や学会発表などを通じた同一分野の研究者との意見交換を積極的に行うことで、研究計画の円滑な推進に必要な情報を得る。
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