2010 Fiscal Year Annual Research Report
二本鎖RNAがマガキに引き起こす急性生体防御反応の解明
Project/Area Number |
22780169
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 直樹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (30502736)
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Keywords | 病原体関連分子パターン / 二枚貝 / 二本差RNA / 血球 / 生体防御反応 / 病原体関連分子パターン |
Research Abstract |
本研究課題一年目の今年は、研究対象であるマガキ血球増加現象を引き起こす刺激源の究明に取り組んだ。すなわち、二本差RNA (dsRNA)類似物接種によるマガキ血球数変化の有無を検討した。通常、マガキが保持しない緑色蛍光タンパク質(GFP)の部分配列を接種源として用いているため、このGFP配列をランダムに変更したdsRNA、GFPと同じ配列をもつdsDNA、および脊椎動物のdsRNA受容体リガンドとなるpoly I : Cを接種した。結果として、dsRNAにおいて顕著な血球数増加が認められたが、dsDNAにも若干の増加が観察された。Poly I : Cでは増加が見られなかったため、二本差塩基配列を特異的に認識する何らかの機構が存在することが示唆される。ただし、dsDNAに関しては対象区と比べて統計的に有為な増加ではないため、個体数を増やすなどして確証を得る必要がある。次に、マガキの生理学的変異は個体差が大きいことから、in vitro系の実験系確立を目指した。この試験では、血球を多く含むと考えられる組織片を採取し、刺激源(dsRNA、poly I : C、またはdsDNA)を加えた培地にて培養し、血球の遊走を期待した。顕微鏡下の観察では、dsRNA添加区において組織外へ多くの血球が遊走する像が観察されたものの、定量的なデータを得るには至らなかった。本年度は、夏期にマガキの生殖腺発達により採血等実験に支障を来すことを経験したため、次年度以降、実験実施時期についても検討することが必要となる。また、震災の影響でマガキを入手することが困難となることが想定されるため、マガキ以外の二枚貝類を実験用試料として使用できるかどうかについても検討を行う予定である。
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