2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780172
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
末武 弘章 公立大学法人 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (00334326)
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Keywords | 魚 / 免疫 / ケモカイン / 粘膜 |
Research Abstract |
体表、鰓、腸管など魚類の粘膜は、病原体侵入の門戸であると同時にそれを防ぐ免疫応答の場でもある。しかし、粘膜での免疫機構はほとんどわかっておらず、浸漬ワクチンなどの粘膜を介したワクチン投与がなぜ効果があるのかも不明である。本研究では、抗原を取り込む抗原提示細胞や免疫応答の主役であるリンパ球が粘膜組織へ動員される仕組みを、白血球を局所に誘引する分子であるケモカインに着目して明らかにすることにより、粘膜免疫系の理解を深める目的で企画した。 1.ケモカインとケモカイン受容体の同定 ほ乳類においてケモカインやその受容体がリンパ球や抗原提示細胞の粘膜への移動に関わることが知られている。そこで、哺乳類で皮膚や腸管にリンパ球を動員するケモカインであるCCL27およびCCL28の両方に相同な遺伝子を見いだした。魚類では単一の遺伝子であり、シンテニー解析からCCL28のオーソログであることが示唆された。さちに、体表に抗原提示細胞を動員するCCL20とCCR6の遺伝子も同定できた。 2.ケモカインの発現パターンの解析 ケモカインは特定の細胞や組織で特異的に発現し、その受容体を発現する細胞を引き寄せる。そこで、トラフグのCCL28の発現組織をRT-PCRで調べたところ、皮膚・胸腺・鰓でのみ発現が確認できた。 さらに、insituハイブリダイゼーションの結果、表皮細胞で強く発現していることが明らかとなった。この発現パターンは哺乳類のCCL28よりはむしろCCL27と似たパターンであり、先の遺伝子解析実験の結果と考え合わせるとこのトラフグのケモカインはCCL27とCCL28の両方の性質を備えた哺乳類のCCL27とCCL28の先祖型に近い遺伝子であると言えそうである。
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