2012 Fiscal Year Annual Research Report
新しい耳石技術を駆使したサクラマスの回遊多型の再検討
Project/Area Number |
22780173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒木 真理 東京大学, 総合研究博物館, 助教 (00568800)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | サクラマス / スモルト / 初期生活史 / 生活史多型 / 回遊生態 / 耳石 |
Research Abstract |
北海道に生息するサクラマス幼稚魚における生活史初期のハビタットシフトの実態を明らかにすることを目的として調査を行った。2010~2012年の3年間、北海道の床丹川、別々川、茂初山別川、ニナイベツ川の4河川において、サクラマスの移動前の降河時期のスモルトの定期的な標本採集と河川の環境データ解析を行った。その結果、床丹川のスモルト化したサクラマスは、体長、体重ともに有意に小さいことが明らかとなった。電子プローブマイクロアナライザを用いた耳石微量元素の分析では、太平洋に面する別々川、日本海に面する茂初山別川とニナイベツ川の3河川の個体群の耳石Sr:Ca比は低値で推移し、これらの幼魚はすべて孵化時から河川内に留まっているものと推定された。これに対して、日本海に面する床丹川の個体群の耳石Sr:Ca比は浮上直後から高くなり、汽水あるいは海水を経験している可能性が示された。これらの移動パタンに年変動はみられなかった。また床丹川沿岸域における夏の潜水観察では、0+歳の個体が数尾確認された。床丹川の年間水温変化は、同じ日本海側の茂初山別川と太平洋側の別々川の水温の年間を通じて中間の値を示し、水温の影響による幼魚の移動の可能性は低いと考えられた。調査河川の形態型をみると、床丹川は上流型(Aa型)であるのに対し、他の3河川は中流型(Bb型)で流れは比較的緩やかである。したがって、川幅が狭く最も急勾配の床丹川では、河川内にサクラマス幼魚が留まるような場所が少なく、大量の雪解け水によって幼魚は河口もしくは沿岸域まで押し流され、しばらく滞留しているものと推測された。本研究の結果から、サクラマス幼稚魚のハビタットシフトには、河川の物理環境が関連していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)