2011 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の細胞内寄生細菌感染症に対する感染防御機構の解明
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22780179
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
荒木 亨介 鹿児島大学, 水産学部, 助教 (30409073)
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Keywords | 細胞内寄生細菌 / ワクチン / 細胞性免疫 / エドワジエラ症 / ミコバクテリウム症 / インターフェロンガンマ / ブリ / クローンギンブナ |
Research Abstract |
これまでにエドワジエラ症に対する感染防御には細胞性免疫が主要な役割を果たすことを示唆してきた。平成23年度はギンブナを用いてE.tarda感作魚のリンパ球を同系統の未感染魚に養子移入して攻撃試験を行うことで、エドワジエラ症に対する感染防御にはCD8陽性T細胞が重要であることを示した。これまでホルマリン不活化菌体(FKC)をベースとした様々な試作ワクチンの有効性が検証されているが、我々のこれまでの研究によりFKC単体では細胞性免疫が早期に誘導されず、宿主に十分な感染防御能を獲得させることはできないことがわかっている。このことにより、エドワジエラ症に対しては細胞性免疫を効率的に誘導できるワクチンが有効性を示すことが明らかになった。 細胞内寄生細菌に属するミコバクテリウム症原因菌について、ギンブナを用いて感染防御における液性免疫の有効性について検討した。ミコバクテリウム症原因菌を用いて攻撃試験後、組織内生菌数が減少してから血中抗体価が上昇したことから、少なくとも液性免疫はミコバクテリウム症に対する感染防御に有効ではないことが考えられた。このことから、ミコバクテリウム症に対する感染防御にも細胞性免疫が主要な役割を果たしていることが考えられた。 ブリのヘルパーT細胞のマーカーCD4、細胞障害性T細胞のマーカーCD8遺伝子を単離した。これら遺伝子の組織発現様式は他魚種のCD4やCD8と同様であったことから、得られたブリCD4、CD8遺伝子はT細胞サブセットの同定に有効であることが示唆された。ミコバクテリウム症を用いて攻撃試験を行ったブリの体腎においてこれら遺伝子の強い発現が検出されたことから、ブリのミコバクテリウム症に対する感染防御にも細胞性免疫が関与している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ブリのMycobacterium sp.に対する感染防御機構の解明について、T細胞関連遺伝子の単離およびMycobacterium sp.を用いた攻撃試験系の確立まで進めることができたが、ミコバクテリウム症に対する感染防御における液性免疫、細胞性免疫の関与については明らかにできていない。その他の研究実施計画については、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究実施計画において未着手の課題とともに平成24年度に計画している課題について研究を進める。研究を行う上での問題点は特にない。
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Research Products
(6 results)