2011 Fiscal Year Annual Research Report
真骨魚類における浸透圧調節機構の共通性と多様性の解明
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22780183
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
廣井 準也 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20350598)
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Keywords | 塩類細胞 / イオン輸送体 / 環境適応 / 淡水 / 海水 / 浸透圧調節 |
Research Abstract |
研究代表者は,モザンビークティラピアにおいて塩類細胞を機能的に異なる4型(I型~IV型)に分類することに成功しているが,他魚種における知見は非常に限られていた.そこで,ニシン目ニシン科に属するalewife(Alosa pseudoharengus)について,同時多重免疫蛍光染色を用いて塩類細胞のイオン輸送体群の可視化を行った.その結果,alewifeは,ティラピアのII型(NCC陽性)細胞に相当する塩類細胞を持たず,淡水環境ではIII型(NKA,NKCC1陽性),海水環境ではIV型(NKA,NKCC1,CFTR陽性)に相当する細胞を備えることが明らかとなった.また,新たに作成した,NHE3に対する抗体を用いて免疫染色を行ったところ,alewifeでは淡水・海水の両方で塩類細胞の頂部にNHE3タンパクが局在することが明らかとなった.NHE3によって,淡水中ではNaイオンの取り込みと,Naイオンと交換でプロトンを排出することにより酸塩基調節を行い,海水中でも酸塩基調節を行っていると考えられる.また,近年,NHE3がRhタンパクと共同でアンモニア依存性のNaイオン取り込みを行うというメカニズムが提唱されたが,alewifeではNHE3とNKCC1が常に同一塩:類細胞内に共局在するため,NKCC1が塩類細胞の側部・底部細胞膜からのアンモニウムイオンの取り込みに関与している可能性が示唆された。これらの成果をJ.Exp.Biol.誌で公表した(Christensen et al.2012).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Alewifeにおける知見を本年度公表することができた.また,ニジマスとアユを用いた実験も順調に進んでおり,来年度中に公表する予定である.また,現時点における「真骨魚類における浸透圧調節機構の共通性と多様性」についてRespir.Physiol.Neurobiol.誌から総説執筆の依頼を受け,ちょうど原稿を提出したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
ニジマスの塩類細胞については,海水環境で鍵となるCFTRを可視化することが出来ないことが障害となり,ティラピアほど明瞭な機能的分類を行うことが出来なかったが,淡水特異的NKAalphalaと海水特異的NKAalphalbに対する抗体が利用可能となった.現時点でmRNAレベルの解析は終了しているため,今後はこれらの抗体を用いたタンパクレベルの解析を集中的に行う.
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Research Products
(3 results)