2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイワシの耳石アーカイブを用いた「成長速度に依存した加入量決定仮説」の検証
Project/Area Number |
22780185
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
高橋 素光 独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所, 研究員 (80526989)
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Keywords | マイワシ / 仔稚魚 / 耳石 / 成長速度 / 加入量 / カリフォルニア海流 |
Research Abstract |
海産魚類の資源量は、数十年周期で起こる気象・海象変動に伴う生態系変化に応答して変動すると認識されつつあるが、資源量変動の生態的過程は未解明である。それは、数十年周期の変動解析に用いることができるデータが漁獲量に限られ、物理・生物環境データと対応させることが可能な資源生物学的データが欠けていたためである。本研究では、魚類の生態履歴が日単位で記録されている耳石情報を鍵とし、1970年代以来保存されてきたカリフォルニア海流域のマイワシの歴史的耳石アーカイブを解析することによって、生物特性の長期データを構築し、環境データ時系列とともに解析することで、カリフォルニアマイワシの資源量変動機構を浮き彫りにすることを目的としている。平成22年度は、生活史初期における成長速度の経年変化を明らかにするために、春から夏に漁獲された0~1歳の稚魚の耳石を研磨し、ふ化後200日前後までの耳石日輪間隔を光学顕微鏡下で計測した。その結果、カリフォルニアマイワシの稚魚初期における成長速度は、資源量が低位から高位へと変化した1980~1990年代にかけて増加したことがわかった。また稚魚初期における成長速度は、カリフォルニア海流域における海面水温の上昇と正の相関関係にあった。これらの結果を、2010年11月17日にカナダのビクトリアで開催されたアメリカ・カナダ。メキシコ3国間マイワシ協議会において口頭発表した。次年度は、これらカリフォルニアマイワシの耳石酸素同位対比を解析することによって、1980~1990年代における水温上昇がマイワシの成長速度に与えた影響を明らかにする。
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Research Products
(1 results)