2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニジマス細菌感染症(連鎖球菌)に対する抵抗性関連遺伝子領域の特定
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22780188
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
尾崎 照遵 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 主任研究員 (40416045)
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Keywords | ニジマス / レンサ球菌症 / 連鎖解析 / QTL / 発現プロファイル / 抗病性育種 |
Research Abstract |
研究目的:水産養殖において病気による被害はきわめて甚大であるが、水を介した開放系の飼育条件下で病原体の伝播を食い止める有効な手段は、現段階ではワクチン接種以外にないと言える。このため、育種によって養殖対象種に対して抗病性を付与できれば、コスト的にも手間の面でも有効な手段となり得る。近年、次世代の育種法として有用形質(経済形質)を識別可能にする量的遺伝子座解析(Quantitative Trait Loci:QTL解析)や、それを利用した選抜育種法としてのマーカー選抜育種法が注目を浴びており、養殖対象種の抗病性品種の開発が強く望まれている。本研究では細菌感染症に対する抵抗性遺伝子座領域の特定とそれを利用した抗病性育種を目的にしている。 本年度(平成23年度)の研究実施計画と成果:連鎖解析、及びQTL解析による位置的候補遺伝子座の探索 平成22年度に行なった感染実験により得たBC_1の個体に対して、平成22年度でDNA多型が検出可能かを確認したマイクロサテライトマーカーを用いて、マーカー座位における遺伝型データを収集し、表現型(生存,死亡)と経過日数ごとによる表現型データとDNA多型による遺伝型の連鎖関係を、LINKFMEX、Map Manager QTX、MapQTL、などの複数の遺伝解析ソフトウェアを用いて遺伝統計学的に解析する。この抗病性形質の表現型データとの相関を解析することにより、位置的候補遺伝子座を特定する。 当該年度の成果概要 ・今回の連鎖解析で、有意差が見られるマーカー座位の存在する領域は、既知の免疫関連遺伝子の存在する領域や、病気に関するQTLの存在が示唆される領域と、それらがゲノム重複した領域の複数個所に概ね一致した。 ・特に連鎖群RT-3、RT16、RT-2、RT29、RT27、RT31、RT17、RT-22が連鎖球菌症抗病性に関する重要な領域である可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに初年度におけるレンサ球菌感染実験による表現型評価、及び次年度に行ったQTL解析により、レンサ球菌に関する抗病性候補領域が予定通り特定できた。最終年度予定の網羅的発現遺伝子解析により、遺伝子発現プロファイルを行うことにより病原体感染に関与する候補遺伝子を特定することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
連鎖球菌症抗病性系統(C25)および連鎖球菌症感受性系統(AA4)を用いて連鎖球菌による感染実験を行い、死亡が始まる4日まで経時的(6、12、24、48、72時間)に実験魚をサンプリングする。血液および胸腺からRNAサンプルを取り解析、網羅的に遺伝子をプロットされたDNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現プロファイルを行い、両系統の発現遺伝子の傾向の違いを比較することにより、病原体感染に関与する候補遺伝子を特定する。 網羅的発現遺伝子解析の結果を受け、それら発現候補遺伝子の位置情報を検索、位置情報がない場合はDNA多型を利用し遺伝子連鎖地図上にマッピングする。平成22年度の細菌感染表現型データと連鎖解析による位置候補遺伝子座の結果の情報を融合し、信頼性の高い細菌感染症に関する抗病性関連遺伝子とその領域を特定する。
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Research Products
(5 results)