2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780192
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
芳賀 穣 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (00432063)
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Keywords | 水族栄養 / ブリ / 骨格異常 / モデル / ビタミン |
Research Abstract |
ブリ類は、年間約15万トンと我が国で最も多く生産されている。しかし、ブリ類の人工種苗には骨格異常個体が多くその防除技術の開発が急務である。そこで、本研究では栄養素の過不足によりどの程度の骨格異常が発生するかを検討するとともに、骨の蛍光色素染色を行って、その利用性を検討することを目的とした。まず、ブリで骨の蛍光染色が可能かを検討した。成長に伴って筋肉が厚くなったり、体表面の色素の発達により観察できなくなることが予想されたので、ブリの受精卵を500L水槽に収容して21-22℃で飼育し、体サイズのことなる仔稚魚を観察に供試した。その結果、孵化後2-3日齢から擬鎖骨が観察され、その後成長に伴って日齢14前後から顎骨、鰓覆骨、神経頭蓋が観察されるようになった。また、背骨に関しては日齢15から神経棘が観察されるようになり、成長に伴って椎体と下尾骨も観察されるようになった。しかし、予想された通り18日齢ごろから体表の色素が発達し始め観察が難しくなるとともに、日齢22前後から体幅が厚くなり観察がさらに困難となり日齢27では観察することができなくなることが判明した。また、蛍光色素染色以外にもX線による観察を同時に行って、カルセイン染色像とほぼ同様に骨格が観察できることも確認した。また、栄養素の摂取の違いは体サイズに反映されると考えられる。また、骨格異常魚は遊泳能力や摂餌能が低下する可能性があるため、骨格異常率と成長成績には関連性があるか否かを検討した。成長の速い個体群と成長の遅い個体群を別々に観察して、骨格異常率に差があるかを検討するため2回の実験を実施した。その結果、一回目の実験では成長の速い個体群で有意に骨格異常率が高く、2回目の実験では逆に成長の遅い個体群で有意に骨格異常率が高い結果となり、成長差の違いと骨格異常率には明確な関連性が見られないことが明らかとなった。
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